韓国・株投資熱狂 投資を目的とする借入金も増え、家計債務世界1位に
一方、株価は日本の輸出管理強化直後に2000を割り込み、韓国で新型コロナウイルスの第1波が拡散した20年3月には1500台まで落ち込んだが、米韓(為替)スワップの締結を受けて急騰、6月以降、2100台から2300台で推移した。
新型コロナウイルスの影響による経済の悪化が長引き、中小企業の多くが存続の危機に立たされる一方、半導体メーカーのサムスンやSKハイニックスが特需を受けるなど、大企業は概ね堅調だ。
政府が不動産価格の安定化を目論んで、不動産売買の規制策を打ち出すと、富裕層は不動産投資から株式投資にシフトした。
また、不動産の高騰で「マイホームを買うには、株式投資で資産を増やすしかない」と考える人が現れ、マイホームの夢が遠ざかった人々が証券市場に参入、さらには、コロナ禍の長期化で将来に不安を抱え、株で稼いで経済的な自由を手に入れたいと考える若者も現れた。新たに500万人から600万人が新たに証券市場に参入したとみられている。
事実上、世界1位の家計債務国に
株式市場に殺到する資金の多くは借金だ。コロナ禍で事業資金や生活費の借り入れが増える一方、株式投資を目的とする借入金の申し込みも増えている。年収7千万ウォンの銀行員は1億4千万を借金して株式投資をはじめたという。
2020年7月から9月期の政府、企業、家計の債務は4900兆ウォン近くに増加した。韓国の名目GDPは約1900兆ウォンで、21年の国家予算は555兆ウォン規模である。同期間に家計が金融機関から借り入れた資金は、前年同期の23兆4000億ウォンを30兆ウォン上回る53兆2000億ウォンで、過去最高額を記録した。
家計債務は国内総生産(GDP)の101.1%に当たる1941兆ウォンに達し、世界平均の65.3%、さらには消費が貯蓄を上回る過剰消費国の米国81.2%も上回り、事実上、世界1位の家計債務国となった。企業債務も世界平均の103%を上回る110.1%で、国際金融協会(IIF)が調査を行なった34か国の中で8番目に高い。
保守政権は、目標に掲げた株価を達成できず、証券業界は投資金が不動産に向かったと分析するが、実体経済を反映したとも考えられる。一方、革新政権は、財閥改革や市場透明性を掲げて、公正と分配を強調する。
機関投資家は守勢に回るが、個人投資家は支配構造の改善などを期待して投資が過熱する。実体経済が反映されるとは限らない。
KOSPIは1月11日に3266.23を記録したあと急落し、3000台3週目の取引は3079.90で始まった。株式投資家のインターネット掲示板には「江南のマンションが一番の有望銘柄だが、政府が買えないように防いでいる」「株式もだめなら票で審判する」などと書き込まれている。