最新記事

感染症対策

韓国、深刻なコロナ第3波へ超強硬対策 まさかの裁判所閉鎖や検察の逮捕停止まで

2020年12月26日(土)21時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

韓国ではスキー場の営業停止など強硬なコロナ対策が取られているが…… KBS News / YouTube

<ドライブスルー方式の検査などで一時は抑え込んだ国が今や危機的状況に>

世界的に新型コロナウィルスの感染拡大が深刻化するなか、韓国では感染数が累計では5万5902人(26日午前0時時点)に達し、連日1000人前後で感染者が増えている深刻な状態だ。防疫対策本部は、年末にかけて、引き続き1日あたり1000人規模で感染者が発生するだろうとしている。

特に、医療機関や療養施設などでも新たなクラスターが発生したことが問題となっている。

こういった施設ではコホート隔離と呼ばれる集団隔離処置をとっているところも多い。しかしこのコホート処置が重症患者を逆に増加させているのではないかと疑問視する声が上がっている。

特に高齢者施設でのクラスターは深刻で、京畿道内に存在する施設のうち職員・看護人・入居者のコホート隔離を行っている6カ所での感染死亡率はなんと10%にも上るという。

感染第3波の深刻さを受け、韓国政府は早速コロナ対策強化を打ち出した。特にこの時期は、クリスマスや年末年始で人と会う機会が増える。この集まりでさらに感染が拡大するのを恐れ、韓国は24日から1月3日まで全国一斉「特別防疫期間」に入った。これは、日本のような要請レベルの甘いものではなく、守らなければ罰金が科せられるなど厳しいものだ。

全国のスキー場を営業停止に

5人以上での集まりを禁止する措置が全国の飲食店にも拡大され、守らなければ、お店側が300万ウォン、客側も10万ウォンの罰金を払わなくてはならない。5人以上のグループが2組に分かれて同時に飲食することも禁止という厳しさだ。宿泊施設は人数制限が付き、映画館も夜9時には営業を停止しなければならない。

また、今が稼ぎ時であるスキーリゾート施設においては、営業停止が言い渡された。これには抗議の声が寄せられ、スキー場の多い江原道ではスキー場関係者と周囲の業者が集まってデモをするなど騒ぎとなっている。

彼らは、特別防疫期間を行うことに反対しているわけではなく、大型デパート、ゴルフ場はオープンを許可しているのに、感染者が一人も出ていないスキー場の運営を全面停止することについて抗議している。1年の売り上げの多くがこの期間に集中すると言っても過言ではないスキーリゾート関係者にとって、今シーズンは厳しい冬となりそうだ。

刑務所で300人規模のクラスター発生

さらに、裁判所の休廷や検察による逮捕停止など信じられない感染症対策まで登場した。

ことの発端は、今月、罰金の未払いで拘束され1週間後に出所した人物が、出所後コロナウィルスに感染していたと分かったことだ。このソウル拘置所は韓国最大規模で、朴槿恵前大統領も収監されている。ソウル拘置所は接触のあった85人に急遽検査する騒動となった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米テキサス州洪水の死者43人に、子ども15人犠牲 

ワールド

マスク氏、「アメリカ党」結成と投稿 中間選挙にらみ

ビジネス

アングル:プラダ「炎上」が商機に、インドの伝統的サ

ワールド

イスラエル、カタールに代表団派遣へ ハマスの停戦条
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中