最新記事

宇宙

銀河系には36のエイリアン文明が存在する?

There Could Be 36 Intelligent Alien Civilizations in the Milky Way

2020年6月16日(火)15時55分
ハナ・オズボーン

天体間でコミュニケーションを取るのは無理そうだが BWFolsom-iStock

<英大学が知的生命体の存在に必要な条件から逆算したところ、銀河系には多くの文明が点在している可能性が浮かび上がった>

銀河系には、エイリアンの文明が30以上存在しているかもしれない──こんな研究報告が発表された。生命が存在するための条件を単純化して計算することで、この銀河にどれだけの地球外知的生命体が存在しているのかに関する「確実性の高い見積もり」をはじき出したものだ。

英ノッティンガム大学のクリストファー・コンセーリチェ率いる研究チームは、米天文学誌「アストロフィジカル・ジャーナル」に発表した研究報告の中で、知的生命体が存在できる条件──惑星の年齢や、主星(惑星がその周りを回っている恒星)の組成など──を検証。地球上で生命が誕生してから私たちが生まれて現在に至るまでに約50億年かかっていることや、地球がさまざまな鉱物でできていることなど、地球上の知的生命体について分かっていることを基に、銀河系の知的生命体に関する仮定を導き出した。

「目指したのは、宇宙規模での進化を検証することだ」とコンセーリチェは声明で述べた。「この計算によって、銀河系には知的文明社会を持つ惑星が36あるはずだという結果が示された」

双方向のコミュニケーションは不可能

これは、文明社会の平均寿命を100年前後として計算した結果だと彼らは言う。100年前後という数字は、人類が無線通信を発明したのがわずか100年ほど前だったことを基に導き出した条件だ。

研究チームによれば、存在すると仮定される36の文明社会は銀河に均一に広がっており、最も近いもので地球から約1万7000光年のところにある。1光年は約9兆5000億キロメートルだ。電磁波は光と同じ速度で移動するため、地球から無線で発信したメッセージがその文明社会に到達するまでには1万7000年かかる。「2つの星の間でやり取りをすることは不可能だ」と彼らは指摘している。

「さらに、こうした文明社会を支える主星が太陽型の恒星である可能性はきわめて小さく、多くはM型矮星(赤色矮星)だと考えられる。M型矮星は不安定な星で、長期にわたって生命を維持することは難しいかもしれない」

研究所見によれば、地球に最も近い知的文明は、「最も楽観的に見積もった場合」でも1030光年先にある。これでも双方向のコミュニケーションには遠すぎる。

「もしも文明社会の平均寿命が1030年に満たないとしたら、天体間の平均的な距離を考えると遠すぎる。それぞれの天体に暮らす生命体が絶滅する前に、天体間でコミュニケーションを取ることは不可能だ」と研究チームは分析した。

<参考記事>エイリアンはもう地球に来ているかもしれない──NASA論文
<参考記事>地球外生命が存在しにくい理由が明らかに――やはり、われわれは孤独だった?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ルイジアナ州に州兵1000人派遣か、国防総省が計画

ワールド

中国軍、南シナ海巡りフィリピンけん制 日米比が合同

ワールド

英ロンドンで大規模デモ、反移民訴え 11万人参加

ビジネス

フィッチが仏国債格下げ、過去最低「Aプラス」 財政
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 9
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 10
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中