BCGワクチン、ポリオワクチンの効果を検証する動きが広がる
長年使われてきたポリオワクチンも、コロナウイルスに効果がある ......? REUTERS/Mohamed al-Sayaghi
<新型コロナウイルス感染症を終息させるため効果的なワクチンが開発されるまでの一時的な手段として注目されているのが、BCGワクチンやポリオワクチンなど、他の感染症予防で長年用いられてきたワクチンの効果だ ......>
世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症を終息させるためには、ワクチンの開発が不可欠だ。米製薬大手ファイザーが新型コロナウイルス感染症予防ワクチン「BNT162」の第1/2相試験にドイツと米国で着手したほか、2020年6月9日時点で9種類のワクチン候補について臨床評価が開始され、126種類で非臨床評価がすすめられている。
免疫応答を活性化させる働きがあるのでは
効果的なワクチンが開発されるまでの一時的な手段として注目されているのが、BCGワクチンやポリオワクチンなど、他の感染症予防で長年用いられてきたワクチンだ。
ワクチンは、特定の病原体の構造を免疫系に記憶させ、病原体が体内に侵入した際、その記憶によってこれを排除するために接種されるものだが、年月を経て、他の病原体にも対抗する「オフターゲット効果」をもたらし、他の感染症を寄せ付けないよう免疫応答を活性化させる働きがあるのではないかと考えられている。
つまり、これらのワクチン接種によって新型コロナウイルスへの免疫を獲得するわけではないが、重症化リスクを軽減したり、新型コロナウイルスを克服するための自然免疫を備えられるかもしれないというわけだ。
BCGワクチンは世界各国で検証中
独マックス・プランク研究所では、3月21日、遺伝子組み換えBCGワクチン「VPM1002」の第3相試験で「VPM1002が新型コロナウイルスに対抗する免疫系を強化するのか」についての検証に着手した。
(参考記事:ドイツで、BCGワクチンの新型コロナウイルスへの効果を検証する臨床試験はじまる)
豪小児医療研究所「マードック・チルドレンズ・リサーチ・インスティチュート(MCRI)」でも、医療従事者を対象に、新型コロナウイルス感染症に対するBCGワクチンの効果を検証する臨床試験を実施。オランダでは、ラドバウド大学医療センターとユトレヒト大学病院の共同研究チームが、60歳以上の1600名を対象に、BCGワクチンが新型コロナウイルス感染症の感染リスクや重症化リスクを軽減するのか、検証をすすめている。