最新記事

新型コロナウイルス

日本におけるPCR検査の拒否状況

2020年4月9日(木)16時30分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

緊急事態宣言を発令する安倍首相の街頭映像(4月7日) Naoki Ogura-REUTERS

遅きに失したとはいえ緊急事態宣言が出されたのはいいことだ。ただ経路不明感染者が多数を占めるのだから、PCR検査の増強が肝心となる。拒否状況の実態を厚労省データから考察する。

帰国者・接触者相談センターのデータから

まず取っ掛かりとして、厚労省HPのコロナ感染症に関する政策関係のサイトにある「自治体・医療関係・福祉施設等の情報」の項目をクリックすると、<帰国者・接触者相談センターの相談件数等(都道府県別)(2020年4月4日掲載分)>というのがある。ここに書いてあるのは「2月1日~3月31日」の間の「相談件数」と「外来受診患者数」およびその内の「PCR検査実施件数」だ。念のため以下に東京など主たる都市のデータを示す。

endo20200409162801.jpg

東京に注目してみると、「相談件数」は41,105件であるのに対して「受診者数」は1,727人で、その内のPCR検査実施件数は964件。

これをどう読み込むかだが、相談者はおそらく自分自身に何かしらの徴候があったために連絡している人が多いだろう。あるいは一部には心配なので「相談ごと」をした者もいるかもしれない。

それを差し引いたとしても「相談」から「受診」まで漕ぎつけるのは4.2%で、さらに「検査」に漕ぎ着けられるのは2.3%、残り97.7%は検査にまで至っていない。

ネットには「日本、検査拒否率98%!」というツイートがあり、それなりに注目されていて中国にも一部この情報が広がっているが、そこまで短絡的に結びつけるわけにはいかない。相談内容には色々あると思われるからだ。だとしても「検査してもらえる」バリアーが非常に高いことだけは確かだろう。要するになかなか検査してもらえないというのが日本の実態だ。

トータルで実際に検査を受けた人数

では、さまざまなルートを通って、トータルでは何名の人がPCR検査を受けるところまで漕ぎつけることができたのだろう。

そのデータを知るには冒頭で述べた厚労省HPのコロナ感染症に関する政策関係のサイトにある「自治体・医療関係・福祉施設等の情報」の項目の中の、新型コロナウイルス陽性者数とPCR検査実施人数(都道府県別)をご覧いただくと出ている。厚労省の関連サイトでは新しいデータに変更されるごとにリンク先が変わるという不便さがあるので、もしかしたら読者がクリックなさった時にはリンク先が変わっているかもしれない。その場合は厚労省HPのコロナ感染症に関する政策関係のサイトから探していただきたい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中