最新記事

新型コロナウイルス

中国からの医療支援に欠陥品多く、支援の動機を疑えとEU警告

EU Flags Concern Over Faulty China Coronavirus Gear,

2020年4月1日(水)17時55分
デービッド・ブレナン

新型コロナウイルス感染拡大を阻止するために中国から送られた医療物資と医師団がカンボジアのプノンペン国際空港に到着(3月23日)Cindy Liu-REUTERS

<新型コロナウイルスの発生源となった失点を取り返すべく気前よく医療品を送ってくれるが、配布したマスクを何十万枚も回収する羽目になるなどかえって迷惑になっているケースも>

新型コロナウイルスと戦う欧州各国を支援するために中国が送った医療品が、不良品や基準を満たさないものだったという報道に、中国の国営メディアが猛然と反論している。

ここ数週間、オランダ、スペイン、チェコ共和国、トルコといった国々から、マスクや検査キットなど中国から送られた医療物資が、品質基準を満たしていなかったという報告が相次いでいる。

中国の国営メディアは中国政府を徹底的に擁護し、こうした医療物資を受け入れない西側諸国の態度は、中国嫌いと自信喪失によるものだと非難した。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)は中国の武漢市で最初に発生した。その後世界中に広がり、80万人以上の感染が確認され、4万人以上が死亡。これまでに約17万2000人が回復している。

中国は流行の初期の段階で対応を誤り、情報の隠蔽も行った。だが国民に厳格な行動制限を課すことによって現在は国内の感染拡大が抑えられているように見える(疑問視する人も少なくないが)。

中国政府は現在、この危機で堕ちたイメージを回復しようと、新型コロナウイルスで最も深刻な打撃を受けている国々の支援に力を入れている。新型コロナウイルスを「克服した」中国の医療品や医療機器、さらに専門家を派遣しているのだ。

中国の「善意」に疑惑の声

しかし、受け取った物資が欠陥品だったと訴える国が続出しているのだ。

共産党機関紙人民日報系の国際ニュース紙「環球時報」は、西側諸国への支援を「たいへんなのに感謝されない仕事」と表現。社説で「理論的には」一部の製品が基準を満たしていない可能性はあると認めつつも、中国製品の品質はすべて「間違いなく信頼できる」と主張した。

さらに欧米諸国は問題を「大げさに」してはならないと述べ、「関連国の世論が物資の質が悪いと騒ぎ立てるとしたら、それは故意の挑発であると中国国民から受け止められる可能性がある」と警告した。

オランダ保健省は3月28日、3月初めに中国のメーカーから届き、すでに病院に配布済みのマスク60万枚を回収することを発表した。一部のマスクのフィルターに欠陥があり、品質基準を満たしていなかったという。

スペイン政府は、中国のメーカーから購入した約6万個のコロナウイルス迅速診断キットの診断精度が低すぎて感染も有無がわからない不良品だったことを公表。トルコも注文した検査キットの一部について同様の苦情を発表している。

欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表(外相)は、「地政学的な要素」または「政治的手段としての気前良さ」に警告を発した。

中国はみずからを「責任ある信頼できるパートナー」としてアピールしているが、ヨーロッパは「(欠陥の)事実で武装」しつつ、「いわれなき中傷からヨーロッパを守る」べきだ、とボレルは付け加えた。

(翻訳:栗原紀子)

<参考記事>「中国ウイルス」作戦を思いついたトランプ大統領は天才?!
<参考記事>人前で「コロナ」と言ったりマスクをするだけで逮捕される国とは

202003NWmedicalMook-cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

SPECIAL EDITION「世界の最新医療2020」が好評発売中。がんから新型肺炎まで、医療の現場はここまで進化した――。免疫、放射線療法、不妊治療、ロボット医療、糖尿病、うつ、認知症、言語障害、薬、緩和ケア......医療の最前線をレポート。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米南部州がアップル提訴、iCloudの児童性的虐待

ワールド

トランプ氏、イランに合意迫る 「10日以内」に対応

ビジネス

米新規失業保険申請、2.3万件減の20.6万件 予

ビジネス

米12月貿易赤字703億ドルに拡大、25年モノの赤
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 5
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 6
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 7
    カンボジア詐欺工場に「人身売買」されたアフリカ人…
  • 8
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 9
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 10
    アイスホッケーの試合中に「銃撃事件」が発生...「混…
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中