最新記事

新型コロナウイルス

米ファウチ所長「全米のコロナ死者は最大20万人にのぼる可能性」

Dr. Fauci Warns 200,000 Americans Could Die

2020年3月30日(月)17時15分
ウェスリー・ドカリー

3月29日、ホワイトハウスでスピーチをするファウチ Al Drago-REUTERS

<感染者数世界一になったアメリカで、専門家の不気味な予言>

アメリカの新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、感染者数は14万人を超えて世界一、死者も2400人に達した。

そんな中、トランプ政権のコロナ対策を率いる米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は3月29日、CNNに対し、アメリカにおけるコロナウイルスによる死者は10万~20万人になる可能性があると述べた。感染者数については100万~200万人に達する恐れがあるという。

最も感染者数が多いのはニューヨーク州だが、アメリカにおける新たな感染例の約56%はニューヨーク市で発生しているとファウチは述べた。

ニューヨーク州のアンドルー・クオモ知事は連邦政府に対し、少なくとも3万台の人工呼吸器を放出するよう求めた。これは今後約3週間のうちに感染拡大がピークに達した際に必要となる数だ。ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長も、4月5日までにさらに数百台の人工呼吸器や医療物資が必要になると訴えた。

全ての州でニューヨーク並みの感染拡大の恐れ

感染拡大が深刻なルイジアナ州ニューオーリンズでも、4月4日までに人工呼吸器が足りなくなると見られている。同州のジョン・ベル・エドワーズ知事は危機に対応するため、国が備蓄している人工呼吸器を放出するよう強く求めている。

「国から人工呼吸器の供給が受けられるかどうかはまだ決まっていない。私は今後も要求を続けるし、少しでも手にできることを願っている」と29日、エドワーズはCBSニュースに述べた。「このせいで本当に夜も眠れない」

ニューヨークとニュージャージー、オハイオ、イリノイ、カリフォルニアなどの州では、感染拡大を防ぐために生活に必要不可欠なものを除くすべての事業者が営業を禁じられている。

ホワイトハウスのコロナウイルス対策調整官を務めるデボラ・バークスは、全ての州と大都市圏で「ニューヨーク並みの流行が起こりかねない」という前提で「防止のためにやるべきあらゆる手を打つべきだ」と述べている。

ドナルド・トランプ大統領は27日、2兆ドル規模の経済対策法案に署名した。これはコロナ問題で打撃を受けた労働者や業界を支援するためのものだ。

(翻訳:村井裕美)

<参考記事>日本で新型コロナの死亡率が低いのは、なぜなのか?
<参考記事>新型コロナ:「医療崩壊」ヨーロッパの教訓からいま日本が学ぶべきこと

cover200407-02.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-EQT、日本の不動産部門責任者にKJRM幹部

ビジネス

独プラント・設備受注、2月は前年比+8% 予想外の

ビジネス

イオン、米国産と国産のブレンド米を販売へ 10日ご

ワールド

中国、EU産ブランデーの反ダンピング調査を再延長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中