最新記事

5G通信

5G通信が気象衛星に干渉し、天気予報の精度を40年前に逆戻りさせると問題に

2019年12月4日(水)17時10分
秋山文野

ところがWRC-19では、米国よりは厳しいものの、欧州の規制案よりも緩やかな「2027年後半から段階的に帯域外発射を厳しく規制する」という案を承認した。具体的には、2027年9月1日までは5G基地局の帯域外発射規制値をマイナス33デシベルワットに、以降はマイナス39デシベルワットにする、というものだ。

厳しい規制が5G普及を早め、気象観測へより早く影響することに

科学誌ネイチャーの報道によれば、5G通信の普及が進むにつれて、より厳しい規制を導入することになったのだという。

WMOは、この決定のために、5Gの導入が早く進むリスクがあると警告した。5G事業者は規制が厳しくなる前に5G基地局などの機器の導入を進め、結果として帯域外発射が増え、「気象衛星が使用する24ギガヘルツの帯域で干渉が無秩序に増加する可能性がある」としている。段階的な規制にしたことで、かえってリスクが増えるというのだ。WMOは、会議前からマイナス55デシベルワットという最も厳しい規制値を求めていた。

5G普及が早まり、気象観測へより早く影響するというありがたくないリスクが示された中で、帯域外発射のモニタリングや、衛星の観測データから5Gの影響を取り除く技術の開発などを進めなくてはならない。気象観測を守る対策は時間との競争になってきている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米政権はFRBと「距離」置くべき─シタデルCEO=

ワールド

インドの対米輸出、11月に急増 貿易交渉妥結の圧力

ワールド

再送-トランプ氏、入国禁止対象を拡大 シリアなど7

ビジネス

機械受注10月は2カ月連続増、判断「持ち直しの動き
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中