5G通信が気象衛星に干渉し、天気予報の精度を40年前に逆戻りさせると問題に
ところがWRC-19では、米国よりは厳しいものの、欧州の規制案よりも緩やかな「2027年後半から段階的に帯域外発射を厳しく規制する」という案を承認した。具体的には、2027年9月1日までは5G基地局の帯域外発射規制値をマイナス33デシベルワットに、以降はマイナス39デシベルワットにする、というものだ。
厳しい規制が5G普及を早め、気象観測へより早く影響することに
科学誌ネイチャーの報道によれば、5G通信の普及が進むにつれて、より厳しい規制を導入することになったのだという。
WMOは、この決定のために、5Gの導入が早く進むリスクがあると警告した。5G事業者は規制が厳しくなる前に5G基地局などの機器の導入を進め、結果として帯域外発射が増え、「気象衛星が使用する24ギガヘルツの帯域で干渉が無秩序に増加する可能性がある」としている。段階的な規制にしたことで、かえってリスクが増えるというのだ。WMOは、会議前からマイナス55デシベルワットという最も厳しい規制値を求めていた。
5G普及が早まり、気象観測へより早く影響するというありがたくないリスクが示された中で、帯域外発射のモニタリングや、衛星の観測データから5Gの影響を取り除く技術の開発などを進めなくてはならない。気象観測を守る対策は時間との競争になってきている。