最新記事

ヘルス

脳腫瘍と思って頭を開けたらサナダムシだった!

Woman's Brain Tumor Turns Out to Be a Baby Tapeworm Living in Her Head

2019年6月6日(木)14時20分
カシュミラ・ガンダー

腸内のサナダムシ selvanegra/iStock.

<死んだ親族に電話をかけたり悪夢を見るなど異常な行動に悩まされるようになった原因は、脳に産み付けられた1個のサナダムシの卵だった>

脳腫瘍の疑いで手術を受けた女性の脳で見つかったのは、脳腫瘍ではなくサナダムシの卵だった──。

ニューヨーク州ミドルタウンに住むレイチェル・パルマ(42)は、2018年の前半ごろから奇妙な症状に悩まされていた。突然言葉が出なくなったり、既に他界した親族に電話をかけようとしたり、「恐ろしい悪夢」や幻覚、不眠にも悩まされるようになった、と彼女はNBCに語った。右手で何かを掴もうとしても落としてしまうという。

異変はエスカレートする一方で、「自分がどこにいるのか分からなくなる日もあった」と、彼女は言う。

何度か救急外来を受診した後にMRI検査を受けたところ、パルマの左大脳半球にビー玉ぐらいの大きさの病巣が見つかった。右利きの人の大部分はここに、言語や発話の機能をつかさどる中枢がある。

「がん」の疑いがあると言われ、パルマは「衝撃を受けた」と語った。脳腫瘍の可能性だけは、考えないようにしてきたからだ。

ウズラの卵のような塊が

だが2018年秋、病巣を除去する手術をしたところ、見つかったのは柔らかい腫瘍ではなく硬くて丸い塊だった。マウント・サイナイ病院(ニューヨーク)の神経外科医ラジ・シュリバスタバは、ウズラの卵のようだったと言っている。医師たちが硬い殻を切り開くと、中にはサナダムシの幼虫が入っていた。

マウント・サイナイ医学大学院の神経外科部門のチーフレジデント、ジョナサン・ラズーリ医師は、ニュース番組の取材にこう語った。「歓声や拍手が沸き起こった」

過去には、脳がサナダムシだらけになって死んだケースもあるが、パルマの場合は卵1個だけだった。

ラズーリはNBCの取材にこうも語った。「(脳から)寄生虫が見つかるのはとても珍しいケースだ。本当に驚いた」

パルマの診断結果は、悪性の脳腫瘍から「脳嚢虫症」に変更された。豚肉に寄生するサナダムシが体内に入り込み、中枢神経を冒すことで起こる症状だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中