最新記事

人種差別 

イギリスで人種差別によるいじめが増加 肌をホワイトニングする子供も 

2019年6月3日(月)17時45分
モーゲンスタン陽子

大人たちに助けを求められない子供たちは、安易な解決策に走ってしまいがちだ。その一つが、ホワイトニングクリームなどの化粧品だ。しかしこれらの化粧品が子供たちをさらなる危険にさらしてしまう。多くのホワイトニング化粧品はハイドロキノンや水銀などの危険物質を含み、肝臓や神経への悪影響が懸念されるため、イギリスでは政府によってOTC(処方箋なしの販売)が禁じられている。

にもかかわらず、そのような違法商品は、イギリス全土の一般の店でなんの取り締まりもなく当たり前のように売られているというのだ(BBC)。

BBCでは、自分の肌が非常に醜いと思い込み、「フィット・イン」するために違法商品を使い始めた16歳の少女や、毎月200ポンド以上(約2万7千円)をつぎ込んで脱色商品を10年以上使い続け、緊急入院するまでに健康を害した若い女性などが紹介されている。またこの女性は、健康への害に気付きながらも、「肌を白くする」という行為を恥ずかしく思い、長らく医療機関などに相談できなかったという。

外見、考え方、性格など、それぞれ異なって当然──そんな当たり前のことが昨今、時代が遡ったように一部で受け入れられなくなっている。子供たちが生まれ持った自分の外見に自信を持てなくなり、周りに受け入れてもらうためにそれを変えようとする、果ては危険な商品に手を出すなど、絶対にあってはならないことだ。学校での教育を徹底する、危険な商品に簡単にアクセスできないようにするなど、大人たちにできることはたくさんある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏、4日に多国間協議 平和維持部隊派遣

ビジネス

米国株式市場=まちまち、トランプ関税発表控え

ワールド

カナダ・メキシコ首脳が電話会談、米貿易措置への対抗

ワールド

米政権、軍事装備品の輸出規制緩和を計画=情報筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中