ツタンカーメンのスカラベのパワーストーンは、隕石衝突によって生成されていた
リビアングラスの起源をめぐっては諸説あった wikipedia
<ツタンカーメンの胸飾りに使われる宝石として有名なリビアングラスが、隕石衝突によって生成されたという研究結果が発表された>
リビアングラスとは、およそ2900万年前に生成され、エジプトとリビアとの中間地域の砂漠に点在する淡い黄色のガラス質の鉱物だ。古代エジプトでツタンカーメンのスカラベの胸飾りに使われるなど、神聖なエネルギーを持つパワーストーンとしても知られている。その起源についてはいまだ完全に解明されてはいない。
隕石衝突によってのみ生成される高圧鉱物が存在していた
豪カーティン大学のアーロン・カボジー博士らの研究チームは、リビアングラスのサンプル中にあるケイ酸塩鉱物の一種「ジルコン」を分析し、隕石衝突によってのみ生成される高圧鉱物「レイド石」がかつて存在していたことを突き止めた。
この研究成果は、2019年5月2日、米国地質学会(GSA)の学術雑誌「ジオロジー」で公開されている。
リビアングラスの起源については、隕石衝突によって生成されたという説のほか、地球近傍天体(NEO)と呼ばれる小惑星が爆発して大気中にエネルギーを蓄積するときに起こる100メガトン級の空中爆発で生成されたという説があり、議論されてきた。2013年2月にロシアのチェリャビンスク州付近で隕石が落下して以降は、空中爆発によって生成されたとする後者の説に人気が集まっている。
空中爆発でも生成可能だが......
隕石衝突によっても、空中爆発でも、砂漠の砂が溶解し、再び固まって、リビアングラスのようなガラス質の物質を生成することは可能だが、高圧鉱物は、隕石衝突による衝撃波によってのみ生成される。
つまり、リビアングラスに高圧鉱物であるレイド石がかつて存在した痕跡があることは、リビアングラスが隕石衝突によって生成された証といえる。また、この研究結果では、リビアングラスにおいて100メガトン級の空中爆発があったことを示す地質記録は見つかっていない。
カボジー博士は、この研究成果をふまえて「隕石衝突は大災害だが、極めて稀なものだ。空中爆発は隕石衝突に比べて頻繁に起こるが、リビアングラスが生成されるような出来事にはならないであろう」と述べている。