最新記事

フィリピン

比ドゥテルテ、超コワモテ外交が効果 カナダが不法輸出の産廃コンテナ69個回収

2019年5月29日(水)19時30分
大塚智彦(PanAsiaNews)

5月中旬の中間選挙でも与党が圧勝し、国民の支持がさらに高まるドゥテルテ大統領 Lean Daval Jr - REUTERS

<中国が産業廃棄物の受け入れを中止して以降、行き場を失ったゴミは偽装されて東南アジアに持ち込まれるように。フィリピンでもカナダからの不法な産廃ゴミが問題になっていたが、ドゥテルテが「外交関係凍結」という強硬姿勢を見せて......>

フィリピンのテオドロ・ロクシン外相は5月27日にツイッターを更新して、カナダから違法に輸出された産業廃棄物、ゴミなどのコンテナ69個が5月30日にもカナダに向けて送還されることになったことを明らかにした。地元紙「フィリピンスター」などが28日に伝えた。

カナダからの産廃ゴミは2013年~14年にかけてフィリピンに輸出された貨物コンテナで、書類上は再生が可能な資源ゴミとされていたが、フィリピン税関当局が調査したところ再生不可能な産業廃棄物に加えて家庭ゴミ、電化製品廃棄物、ビニール袋などのプラスチックゴミが大量に含まれていたことが判明。

フィリピン側が「フィリピンはカナダのゴミ捨て場ではない」と強く反発、カナダ側に回収を求めていた。

大統領の"宣戦布告"やデモ、大使召還と強硬策

ドゥテルテ大統領は4月23日にはカナダ政府に早急な対応を要求し、「1週間以内にカナダに送り返す」「引き取らないというなら戦争だ」などと"宣戦布告"するまでの過激な発言で対応を迫った。

カナダ政府は当初「民間業者が輸出したものである」として介入に消極的な姿勢を示していたが、フィリピン側の度重なる要請に対し回収に同意、手続きが進んでいた。

ところが回収の期限とされた5月15日までに送還が実行されなかったことにフィリピンのドゥテルテ大統領がさらに態度を硬化させ、5月15日付けでカナダ駐在のフィリピン大使や領事に本国へ戻る「召還命令」を出して、両国の外交問題へと発展した。

さらにフィリピンではカナダ政府に対して産廃ゴミの迅速な回収を求める市民デモも起きるなど国民の間で「反カナダ機運」が盛り上がりを見せ始める事態にもなった。

その後も回収に関する両国関係者の交渉は続いていたが、カナダ政府は6月末までに回収の準備終了という方針を示して譲歩する姿勢をみせず、フィリピン側が求めている早期の全面的解決に漕ぎつけるにはなお時間がかかりそうな雲行きとなった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米当局と緊密に連携し「適切に対応」、今夕の円急騰に

ワールド

ウクライナ第2の都市ハルキウに攻撃、広範囲に停電 

ビジネス

ECB、ロシアの軍事的ショックに備える必要=リトア

ビジネス

中国の香港経由の金輸入、12月は前月比24%減 価
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化はなぜ不可逆なのか
  • 3
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに...宇宙船で一体何が?
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 9
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 10
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中