北欧スウェーデンで体内へのマイクロチップの埋め込みが広がる理由とは
乗客の体内に埋め込まれたマイクロチップを乗車券の代わりに利用できる Dezeen-Youtube
<スウェーデンでは、体内埋め込み型マイクロチップを乗車券や入退室管理などに利用され始めている。なぜ、スウェーデンでそこまで進むのか、その背景は...>
手に埋め込んだマイクロチップを乗車券の代わりにして電車を利用し、手をかざしてオフィスの出入り口を解錠する----。
北欧スウェーデンでは、こんな近未来のような光景が現実になりつつある。
スウェーデン鉄道(SJ)は、世界で初めて、乗客の体内に埋め込まれたマイクロチップを乗車券の代わりに利用できる検札システムを2017年5月から導入。
首都ストックホルムのイノベーションセンター「エピセンター」でも、体内埋め込み型マイクロチップに対応した入退室管理システムが設置されている。
スウェーデンを拠点とするNFC(近距離無線通信)対応マイクロチップ専門開発ベンダー「バイオハックス」では、これまでに、スウェーデン国内の従業員およそ3500名に対してマイクロチップの埋め込みが実施されている。
体内埋め込み型マイクロチップを乗車券を利用できるスウェーデン鉄道 Dezeen-Youtubeスウェーデン独自の「バイオハッキング文化」
それでは、なぜ、スウェーデンで、体内へのマイクロチップの埋め込みが広がっているのだろうか。スウェーデン・ルンド大学のモア・ピーターセン博士は、その背景として、スウェーデン独自の"バイオハッキング文化"をあげている。
バイオハッカーとは、大学や企業、研究機関といった既存の専門組織の外で、テクノロジーを駆使して生物学的なものを解析したり改変したりするアマチュア生物学者をいい、その目的や思想などに応じて、様々なグループに細分化されている。
そのひとつが、新しい科学技術を用いて人間の身体と認知能力を進化させ、人類を長期的に向上させようとする「トランスヒューマニズム(超人間主義)」の流れをくむもので、とりわけ、医者によらずにマイクロチップを体内に埋め込むなど、自分の体を使って実験を行う人々を「グラインダー」と呼んでいる。ピーターセン博士によれば、スウェーデンのバイオハッカーは概ね、このグループに属しているという。