最新記事

ヘルス

コンドームなんてもういらない!? 理想の男性用ピル「供給できる可能性は高い」

2018年4月23日(月)18時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

vadimguzhva-iStock

<非ホルモン性で副作用もない男性用ピルは、精子の泳ぐ力をストップさせる効果が期待できる>

男性の避妊の形が大きく変わるかもしれない。

米オレゴン国立霊長類研究センターの研究チームが、理想の男性用避妊薬の開発に向けた実験に成功したというニュースが飛び込んできた。

その名も化合物「EP055」。飲み薬として服用できるいわば男性版のピルといったところだ。男性の避妊方法としてメジャーなコンドームは物理的な手間がかかることなどから、より手軽に使える経口避妊薬の開発は長く待望されてきた。

英インディペンデント紙によると、EP055は精子の泳ぐ能力を抑える効果がある。実験でアカゲザルにEP055を与えたところ、精子の表面のタンパク質に作用し、精子が動く能力を制限することが確認された。

副作用のない理想的な男性用避妊薬

研究チームの主任マイケル・オランドは「簡単に言えば、EP055は精子の泳ぐ力を失わせることで受精能力を大幅に抑える」と説明する。実験でEP055を与えられた全てのアカザルが18日後に完全に回復したことが確認されており、理想的な男性避妊薬(非ホルモン性)の候補として熱い視線が注がれている。

現時点で、男性ができる避妊法はコンドームかバセクトミー(精管切除術)しかない。日本で「パイプカット」と呼ばれるバセクトミーは、外科的な手術を受ける必要があるし、一生子供を作れなくなる可能性もあるため、手軽な方法とはとても言えない。

これ以外の男性向けの避妊法もないことはないが、ホルモンに作用し「精子の生産」を抑えるタイプという。人によっては副作用が出る恐れもある。

2016年には、避妊薬注射が有効だと判明したものの、副作用の発生率が高く、早い段階で実験は中止された。この実験に参加した男性のうち気分障害の発症例が5つ、さらに約5%の男性が試験薬を飲んでから1年経っても精子の量が元に戻らなかった。参加者の半数未満だが、ニキビが出たという報告もあった。

「JQ1」の名で知られている別の薬剤はマウスを使った実験は上手くいったというが、長期的に見て何も影響が出ないかどうかは分からない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

五輪=CAS、「追悼ヘルメット」のウクライナ選手の

ワールド

米大統領上級顧問、鉄鋼・アルミ関税引き下げ計画を否

ワールド

ドイツ首相、米欧の関係再構築呼びかけ 防衛力強化の

ワールド

OPECプラス8カ国、4月からの増産再開を検討=関
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベルの「若見え」な女性の写真にSNS震撼
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    毛沢東への回帰? それとも進化? 終身支配へ突き…
  • 8
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 9
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 10
    「賢明な権威主義」は自由主義に勝る? 自由がない…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中