最新記事

核兵器

米国防省、北朝鮮の核攻撃に向け準備 放射線治療薬の開発急ぐ

2018年2月5日(月)08時30分

1月31日、北朝鮮と米国の間で核戦争の危険性が高まる中、米国防総省は、企業と協力して急性放射線症候群(ARS)の効果的な治療薬開発に向けて動き出した。写真は、北朝鮮のICBM「火星14」の発射実験。KCNAが昨年7月提供(2018年 ロイター/KCNA via Reuters)

北朝鮮と米国の間で核戦争の危険性が高まる中、米国防総省は、企業と協力して急性放射線症候群(ARS)の効果的な治療薬開発に向けて動き出した。

世界的に孤立する北朝鮮が昨年11月、米国本土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を実施して以来、米朝間の緊張は一段と高まっている。

ワシントンの衛生当局者は、もし万一核攻撃を受けて、放射能中毒が拡大した場合でも、対処するのに十分な治療薬の備蓄があると言う。

だが、いくつかの製薬会社の声明や政府が発表した提携は、国防総省が核攻撃に備え、軍人と市民の両方を守るため、さらに効果的な治療薬の開発に本格的に乗り出したことを示している。

国防総省の2018年予算では、こうした医療対策向けに前年比60万ドル増の390万ドル(約4億3000万円)を計上している。

しかし、クリーブランド・バイオラブや未上場のヒューマネティクス・コーポレーションなどの企業と交わした契約書にある実際の数字をみると、同省は少なくとも1300万ドルの資金を提示しており、関連する他部署も関与している可能性を示唆している。

開発に成功した製薬会社への報酬はばく大だ。政府は2013年、30年近く使われているアムジェンの白血球減少を改善する「ニューポジェン」を備蓄するため、1億5700万ドルを費やした。だが、同医薬品を含む備蓄薬は、被ばくによるある特定の後遺症に効果が限られるため限定的だった。

トランプ大統領が先月、増額された7000億ドルの軍予算に署名したことにより、北朝鮮の脅威に対抗するための対策に重点が置かれ、新薬開発予算を膨らませる可能性があると、医療専門家は指摘する。

開発段階にある放射線障害の新薬は、白血球、赤血球、血小板の減少を改善する。何度も血液検査をしたり、事前に検査をする必要もない。

前出のクリーブランド・バイオラブと非公開企業の米ニューメディシンズ、そしてイスラエルのプルリステム・セラピューティクスは、それぞれ開発の最終段階にある。一方、ヒューマネティクスは経口薬の治験をまだ開始していない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベネズエラの石油生産は米国次第とゴールドマン、26

ビジネス

午前のドル157円前半へじり高、米ベネズエラ情勢注

ビジネス

ホンダ、中国四輪工場の生産再開を2週間延期 半導体

ワールド

中国外相「世界の裁判官」認めず、米国のマドゥロ氏拘
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── …
  • 5
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 6
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中