最新記事

中国社会

北京の幼稚園で児童にセクハラ? 成分不明の薬投与や針で刺すなど虐待も

2017年11月28日(火)11時35分

11月26日、中国の就学前教育大手RYBエデュケーション(紅黄藍)が運営する北京市朝陽区の私立幼稚園で、園児が針で刺されたり、性的虐待を受けていた疑惑が浮上した。問題の幼稚園前で24日撮影(2017年 ロイター/Jason Lee)

中国の就学前教育大手RYBエデュケーション(紅黄藍)が運営する北京市朝陽区の私立幼稚園で、園児が針で刺されたり、性的虐待を受けていた疑惑が浮上した。急成長する同国の児童保育産業における新たな虐待スキャンダルは、市民の大きな怒りを呼んでいる。

国営新華社通信が23日、この児童虐待疑惑を報じたことを受け、地元警察当局は、同園児童に対して「性的虐待を行ったり、針で刺したり、成分不明の錠剤を飲ませた疑い」について捜査すると表明。25日にはサイトで、河北省出身でLiuという姓の同園で働く女性教師(22)を拘束したと発表した。

また、北京出身でLiuという姓の31歳の別の女を、この件で偽情報を拡散し、社会秩序を乱したとして23日に逮捕したと述べた。

新たな児童虐待事件に対する保護者や市民からの怒りが高まるなか、ニューヨーク証券取引所に上場するRYBエデュケーションの株価は24日、38.4%急落。同社は26日、この幼稚園の園長を解任し、当局に拘束された教師を解雇したと発表した。

地元メディア報道によると、同園児童の保護者は、裸の子どもたちに対して、成人の男が裸で「健康診断」を行う問題行動について、子どもたちから聞いたと語った。一番幼い子どもは3歳だったという。

園側に説明を求めるため23日に幼稚園の前に集まっていた親たちも、成分不明の錠剤を飲まされたり、裸で教室に立たされる罰を与えられるなど、子どもたちから一致する証言が出ていると話したという。

中国では、相次いで発覚する児童虐待事件によって、保育や初期教育産業に対する当局の手ぬるい規制や監督を巡る問題が表面化しており、幼稚園などに通う子どもたちに対する安全確保に大きな関心が集まっている。

RYBエデュケーションは24日、公式のマイクロブログで「今回の件で保護者の皆様や社会に大きな心配をかけたことを深くお詫びする」との声明を出し、園内に設置した監視装置を提出するなど当局の捜査に協力していると述べた。



1205-thumb-240xauto.jpg【本誌12/5号】特集:セクハラは#MeTooで滅ぶのか

ハリウッド発のセクハラ告発が世界に拡大中── なぜ男性は女性に対する性的虐待をやめられない?

米社会 「男の妄想」への大反撃が始まった
日本社会 #MeTooは日本にも広がるか
リスト 告発された男たち...
波紋 世界ではどんな#MeTooが?
インタビュー 男が女を辱めて満足感を得る理由
調査 若者の意識も改善の余地あり
メディア GQの表紙では女性だけがおへそを出す
詳しくはこちら=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに

ワールド

米共和党の州知事、州投資機関に中国資産の早期売却命

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 サハリン

ビジネス

ECB総裁、欧州経済統合「緊急性高まる」 早期行動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中