最新記事

米外交

殺された米兵はニジェールで何をしていたのか

2017年10月26日(木)16時00分
デービッド・リット(米国務省元顧問)

ニジェールに米軍が展開するもう一つの理由は、この国がサハラ砂漠に位置すること。政府の統制が行き届かない砂漠は、テロ組織や過激派が基地を置くにはお誂え向きだ。「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」やテロ組織ISIS(自称イスラム国)に忠誠を誓うボコ・ハラムなど、この地域の安定を脅かす武装勢力の動きを把握するには、ニジェールに拠点を置く必要がある。

「なぜ米軍がニジェールに?」という問いには、こう答えたい。脆弱国家の政治的・経済的な安定化を支援することは、地域の安全保障のみならず、アメリカの安全保障に貢献する。民主的な統治が実現し、無政府状態の地域が縮小すれば、過激派がグローバルな脅威へとのし上がる芽を未然に摘むことができる。米軍、とりわけ相手国の治安能力の向上を支援する特殊部隊は、外交や開発援助に取り組む政府機関と並んで、アメリカの安全保障戦略に不可欠の役割を果たしているのだ。

今回の悲劇的な事件は、サヘル地域での米軍の任務が大きな危険を伴うことを改めて痛感させた。だがもし「ニジェールに駐留する理由」が疑問なら、テロ対策でのアメリカの戦略的な目標、と、アフリカの脆弱国家の民主化を支援することがそこで果たす役割に目を向ける必要がある。

(筆者は1990~93年、ニジェールの首都ニアメのアメリカ大使館に勤務した)

From Foreign Policy Magazine

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本経済は好調持続、これ以上財政・金融吹かせばイン

ビジネス

1月百貨店売上は2.3%増、国内客がインバウンド減

ワールド

豪首相、爆弾脅迫で公邸から一時避難 不審物は見つか

ビジネス

インフレ基調指標、1月もそろって2%割れ 方向感は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    最高裁はなぜ「今回は」止めた?...トランプ関税を違…
  • 9
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 10
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 10
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中