フランス大統領選「ルペンの乱」起きるか、リスクに備える仏銀行
4月3日、フランスの銀行は、4月の同国大統領選で極右政党・国民戦線のルペン党首(写真)が予想以上に善戦し、信用収縮や取り付け騒ぎなどの波乱に見舞われるリスクを想定した準備を迫られている。ボルドーで2日撮影(2017年 ロイター/Regis Duvignau)
フランスの銀行は、4月の同国大統領選で極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首が予想以上に善戦し、信用収縮や取り付け騒ぎなどの波乱に見舞われるリスクを想定した準備を迫られている。
ルペン氏は、自分が勝利すればユーロ離脱(フレグジット=Frexit)を問う国民投票を実施し、中央銀行の紙幣増刷により財政支出を賄い、商業銀行に小規模企業への貸し出しを義務付け、銀行が顧客に課す手数料を半分に削ると約束している。
世論調査によると、4月23日の第1回投票ではルペン氏が得票率25─30%で第1位となるが、5月7日の決選投票では中道系独立候補のマクロン前経財相が勝利する見通しだ。
上席のバンカー4人がロイターに語ったところによると、2月の世論調査でルペン氏が支持率を伸ばし、フランス国債利回りが急上昇したのを受け、欧州中央銀行(ECB)担当者らは市中銀行に対し、不測の事態に備えて十全の対策を講じるよう働きかけている。
バンカーの1人は「フレグジットを含むさまざまなシナリオに対する当行の計画を聞かれた」と話した。
ECBはコメントを控えている。
銀行が問い合わせを受けているシナリオの1つは、ルペン氏が第1回投票で予想以上に得票を伸ばし、2週間後の決選投票で勝利の確率が高まるケースだ。
2人目のバンカーは、決選投票までの短期間に市場で流動性が低下する可能性について「2週間なら、どんな困難な状況でも十分切り抜けられる」と述べた。
ECBの担当者は銀行に詳細な計画を別個に提出するよう求めているわけではなく、定期的な調査票に大統領選に関する質問を加えるにとどめている。このため銀行は大きく身構えてはいない。
複数のバンカーによると、銀行は外国人投資家への対処についても大枠を示す必要がある。第1回投票で候補者が2人に絞られ、決選投票に持ち込まれる大統領選の仕組みなどを外国人に説明しなければならない場合もあるからだ。