ブレグジット後の治安協力は? 襲撃テロで英国が懸念
首相となったメイ氏は現在、欧州逮捕状によって過去5年間で5000人以上を英国は強制送還することができたと述べている。
ユーロポールを離れることで、英国が他のEU加盟国27カ国の政府それぞれとの関係に頼らざるを得なくなると、元当局者は指摘する。
英国はユーロポール以外に、シェンゲン協定の情報共有プロトコルと、航空機の搭乗者に関するデータをEU治安当局間で交換する取り決めも結んでいる。
英国が正式に離脱手続きを開始するまで、EUの外交官たちは今後における同国の防衛・治安面での協力について協議することを拒否しているが、ある英国の外交官によると、同国は「特別な関係」を模索する可能性が高いという。
メイ首相は2年間に及ぶEU離脱手続きを29日に開始するとみられるが、治安と防衛の分野においてEUと緊密な関係を維持したいと語っている。EUも同様の意思を表明しているが、緊張が漂っているのは明白だ。
メイ首相は1月、英国の諜報能力は「欧州で唯一無二」であり、同国の軍隊と対テロ対策のリソースが、より良い離脱協定を確保する後押しとなるはずだと述べている。
しかしEUのバルニエ主席交渉官は否定的である。「治安と経済的・商業的利益を天秤にかけることはない」と、ブリュッセルで22日語った。
協力の限界
英国はすでにEU加盟国のフランスとドイツと、治安に関する2国間協定を結んでいる。そのほか、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと諜報に関する協定「ファイブ・アイズ」を交わしている。
一方、ユーロポールと非EU加盟国のロシア、トルコ、ウクライナとの協力合意には交渉に数年を費やし、共有可能なデータに制限が設けられている。
EU内の協定では指紋やDNAデータの送信は数分で済むが、英国がEUを離脱するなら、それは数カ月かかる可能性があると、シンクタンクのグローバル・リスク・インサイツは指摘する。