オランダのパラドックス、豊かな国で極右政党台頭の理由
オランダ統計局(CBS)によれば、同国人口に占める西側諸国以外からの移民の比率は、1996年の7.5%に対して、2015年は12.1%へと上昇した。現在、総人口1700万人のうち、約5%がムスリムである。
「動物園の檻が全部開けられていたら、どれほどの混乱が起きるか想像してほしい」。フォーレンダムで暮らす年金生活者のウィレム・ビアマンさんは、ウィルダース氏の反イスラム、反EUの主張を支持する理由についてそう語った。
「それが今の欧州で起きていることだ」
オランダ国民は昔から、その歴史に根ざした寛容な多文化主義で知られている。しかし、それぞれの選挙区の所得水準や、外国人住民の割合に関係なく、移民問題がオランダ総選挙の重要な争点となっている。
犯罪増加への懸念
フォーレンダムは白人の中産階級を主体とする地域だ。小さいが美しく塗装された家々が、ゴミ1つ落ちていない街路に軒を連ねている。
約8000人の人口のうち、西側諸国以外からの移民は2%にすぎず、ほとんど目立たない、失業率は3%で、犯罪発生率は人口1000人当たり3件だ。
デランゲ氏によれば、フォーレンダムのような地域における反移民感情は、犯罪増加などの「大都市問題」が、自分たちが暮らす静穏な地域に波及するのではないかという懸念に端を発していることが多いという。
フォーレンダムは、移民の多いオランダ最大の国際都市アムステルダムから車で30分の距離にある。
国内第2位の都市ロッテルダムでは、以前から、白人有権者がウィルダース氏の自由党やその他の極右政党に引き寄せられてきた。総人口63万1000人の38%が移民であり、失業率は12%を超える。いずれも全国的にみて高い数値だ。