最新記事

欧州

トランプ時代の世界的波乱に、日欧枢軸は自由の防波堤となる

2017年1月18日(水)11時00分
河東哲夫(本誌コラムニスト)

 昨今、グーグルなど米巨大IT企業が、無人運転車やロボットのような製造業の世界に参入。モノづくり立国ドイツなどは警戒心を強め、「インダストリー4・0」(工場設備等をセンサーや人工知能で効率的に稼働させるもの)の掛け声で対抗しようとしている。ここにも日欧協力の種は転がっている。

 日本とEUは、中ロ両国に対する姿勢を異にしてきたが、最近はこの点も修正されてきた。EU諸国は中国市場において、これまで日本の競争相手だった。だが中国が最近外資を締め出す一方で、EU諸国の最先端企業を買いあさっていることに怒りを募らせている。日本とEUは中国をめぐって互いに出し抜くだけでなく、共同して中国に物申すべき時期にある。

【参考記事】トランプごときの指示は受けない──EU首脳が誇り高く反論

 さらにEUはロシアに対して、ウクライナ問題で制裁措置を取るなどこわもてに対応してきたが、腐敗したウクライナの支援に本腰を入れる気は元からない。トランプがロシアと仲直りする構えを見せる今、EUは対ロ協力に舵を切りたくて仕方ない。日本とEUは共同歩調を取れる。

 昨年11月、ドイツのメルケル首相は、当選直後のトランプに電話でこう言った。「民主主義、自由、人権の尊重という共通の価値観に依拠するのであれば、緊密に協力する用意がある」

 民主主義、自由、平等。この価値観はヨーロッパが本家だが、日本が戦後築き上げた社会を貫く原則でもある。自由を守る日独枢軸――これも悪くない。

[2017年1月17日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ANA、エアバス機不具合で30日も6便欠航 2日間

ビジネス

アングル:「AIよ、うちの商品に注目して」、変わる

ワールド

エアバス、A320系6000機のソフト改修指示 A

ワールド

アングル:平等支えるノルウェー式富裕税、富豪流出で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 7
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    香港大規模火災で市民の不満噴出、中国の政治統制強…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中