アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産を巡り揺れる遺族
モデル、女優として活躍するデヴォン青木氏 Vincent Kessler-REUTERS
<アメリカで一大レストランチェーンを築いたロッキー青木は2008年に他界したが、未だにその財産をめぐって遺族の間で訴訟問題となっている......>
Benihana(紅花)という、全米展開する寿司&鉄板焼きの一大レストランチェーンを聞いたことはあるだろうか? 1964年にレスリングの日本選抜チームの一員でもあったロッキー青木氏がニューヨークで創業したレストランだ。客の目の前でパフォーマンスをしながら肉を焼くという当時としては斬新なスタイルで一世風靡し、日本食をニューヨークから全米中に広める先駆けとなった。
2006年、生前のロッキー氏に取材したことがある。インタビュー時、青木氏のオフィスの壁には、青木氏がカバーとなった米『Newsweek』が飾られていた。
遺産管理をめぐって遺族の間で訴訟問題に
ロッキー氏は2008年に病気で他界したが、未だに遺された青木一家が揺れている。彼には前妻との間に生まれたDJスティーブ青木氏と、シャネルなどで一躍有名になったモデルのデヴォン青木氏を含む6人(一部7人という情報もある)の子がいる。他界した時には、3番目の妻で日本出身の実業家、青木恵子氏と婚姻関係にあった。
DJとして活躍するスティーブ青木氏 Steve Marcus-REUTERS
その恵子氏と義理の子にあたるスティーブ氏とデヴォン氏が、財産を巡って訴訟問題になっているという。2月8日付けの『ニューヨークポスト』は、「紅花の相続人スティーブ氏とデヴォン氏は、5,000万ドル(約55億円)の家族信託から義母を追い出したい」という見出しで報じた。
記事によると、ロッキー氏がスティーブ氏とデヴォン氏のために残した「数百万ドル」(約数億円)を恵子氏が浪費したとし、信託基金の筆頭から除外すべく昨年12月、恵子氏を相手取り、再び訴えを起こしたとしている。恵子氏がこの兄妹に訴えられたのは初めてではないという。
2014年5月には6年に及ぶ法廷闘争の末、デヴォン氏とスティーブ氏が5,000万ドルを2人で共有できるようになったが、2人は恵子氏を家族信託の筆頭から1日も早く排除したいとの考えのようだ。
恵子氏はロッキー氏の死後、Benihana of Tokyoの北米と南米を除くフランチャイズのCEOとして活動している。以前は補正下着の事業を成功させた実業家で、ロッキー氏に出会って以降も、彼の右腕として手腕を発揮してきた。またニューヨークの一等地、五番街でのセレブとしての未亡人生活を、日本のテレビ番組でたびたび紹介されている。