かつて北欧も「育休が取りずらい国」だった 世の父親へ育児参加を勧めるこれだけの理由と秘策
pixdeluxe-iStock
<父親の育児参加は、子どもの「自己肯定感」「学力」「やる気」「人間関係」の形成に強い影響を持ちます。難しく考えることはありません。父親は自分が好きな遊びやアクティビティを、子どもと一緒に楽しめばいいのです。>
フィンランド82%、スウェーデン74%、ノルウェー72%、日本2%。何の数字だか分かりますか?
これは2013年(スウェーデンは2011年)の「男性の育児休暇取得率」です。少し古いデータですが、出典(OECD、内閣府)が確かなのでご紹介しました。
その後、日本は年々数字を上げ、2018年には6.16%まで上昇しています。たった6%!と悲観することはありません。ノルウェーも育児休暇改革が行なわれる1993年までは、父親の育児休暇取得率は3%程度だったのです。育児休暇改革で父親に「有給で4週間」の育児休暇が認められるようになると、年々取得率が伸び、2006年に70%に達したという経緯があります。
父親の育児参加が大切なワケ
数字からも分かるように、北欧の国々が「子育てしやすい国ランキング」で上位を独占している理由は「父親の育児参加」です。それだけ子育てにおいて父親の影響力は大きいのです。
でも母親が「ゴロゴロしてないで、たまには子どもの面倒みてよ!」などと言えば夫婦仲が悪くなるだけです。父親に納得してもらうためにも、なぜ父親の育児参加が大切なのか、その根拠について少し見ていきましょう。
メリーランド大学の教育心理学者、ナターシャ・カブレラ博士の研究によって、父親の子どもへの関与が多いほど、子どもの情緒が安定し、認知力(学習能力)が高くなることが分かりました。
モントリオール大学の心理学者、ダニエル・パケット博士は、父親と活発な遊びを多く経験した子どもは、不慣れな環境においても果敢にチャレンジしていく傾向が強くなるという研究結果を報告しています。
ハーバード大学医学部準教授のマイケル・ヨグマン博士は、父親が育児に積極的に参加した子どもには以下のような特徴があると発表しています。
・自尊心が高い
・言語能力がすぐれている
・学校の成績がよい
・うつや情緒不安になりにくい
・学校をずる休みしたり、問題行動を起こす確立が低い
さらに「父親が擁護的である場合、子どもは友だちから受容され、友だち関係が良好になる」(Lynn 1979)、「父親は子どもの社会性の発達に顕著な影響力を持つ」(Clarke-Stewart 1980)という研究が明らかにしているように、父親の育児参加は、子どもの「自己肯定感」「学力」「やる気」「人間関係」の形成に強い影響を持つのです。