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「ビジュいいじゃん」を求めすぎた代償? 男性の「外見磨き」が招く「心身リスク」とは

Men are embracing beauty culture — many of them just refuse to call it that

2026年2月18日(水)19時00分
ジョーダン・フォスター (マクユーアン大学社会学助教)
スキンケアを行う男性

小まめなスキンケアを怠らず、高負荷の筋トレをこなす。男性たちの徹底した「外見磨き」には危険な落とし穴も MARIDAV/SHUTTERSTOCK

<美容男子ブームの裏で、行き過ぎた自己改造が思わぬ「落とし穴」に――>

アイスホッケー選手同士の恋を描いたカナダ発のBLドラマ『ヒーティッド・ライバルリー』(原題:Heated Rivalry)。その主演俳優ハドソン・ウィリアムズが公開したスキンケア動画が目下、美容男子界隈でバズっている。

【動画】世界的BLドラマ「ヒーティッド・ライバルリー」予告編

オンライン雑誌「ザ・カット」のために制作されたこの動画で、ウィリアムズが披露するのは「5ステップの韓国式ビューティー・ルーティン」。韓国出身の母親を持つ25歳のイケメン俳優は、トナーや美容液などお気に入りの製品を紹介しつつ、つやつやに輝く肌の秘訣を伝授する。


自虐的なジョークを織り交ぜながら20分近いルーティンをこなすウィリアムズの動画は、YouTubeだけでも再生回数69万回(増加中)、2000件以上のコメントと4万件の「いいね」を獲得している。

ハドソン・ウィリアムズのスキンケアルーティン

こうした反響が物語るのは、「外見磨き」に対する男性の意識の変化だ。

スタイリッシュな服装から筋肉増強のためのワークアウト、肌や髪の手入れと、今どきの男たちは外見を良くするために時間もカネも惜しまない。

ただ、そこには興味深いひねりがある。外見磨きに余念がない男たちは、なぜか自分たちの努力を「美の探求」とは呼ばないのだ。

長い間、文化的な美の規範に縛られるのは主に女性だった。女性は時代や文化の美の基準に合わせて髪形や化粧を変えるよう求められる。それは無理な注文で、しばしば相矛盾する要求でもあった。

だが近年、興味深い変化が起きている。美の規範の押し付けと外見磨きの圧力が、男性に対して強まっているのだ。

男性向けの化粧品が市場にあふれ、化粧品はもちろんのこと、それ以外の製品やサービスの広告にも上半身をあらわにした男性モデルが登場するようになった。

今では男性がスキンケア製品や眉毛カットなどのグルーミングアイテムを買うことは珍しくない。特に若い男性は顔と体磨きに並々ならぬ努力を傾け、ウィリアムズの動画のような何段階ものルーティンにも挑んでいる。

「ルックスマクシング」

男性の見た目への投資が広がっている背景には、少なくとも部分的にはソーシャルメディアのインフルエンサーやネット上に飛び交う情報の影響がある。

こうした投資に加え、男性には筋肉質の体を手に入れる努力も求められる。インフルエンサーやセレブはそうしたニーズに応え、「科学的根拠に基づく」筋肉増強のエクササイズを推奨し、体づくりのアドバイスを発信している。

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徹底した「外見磨き」は筋トレにも及ぶ FOTO SALE/SHUTTERSTOCK

推奨される方法には無害なものもあるが、より極端なやり方──時には危険なやり方を試みる男性もいる。

「ルックスマクシング(looksmaxxing)」というネット用語をご存じだろうか。ルックスのポテンシャルをマックスにする(最大限引き出す)という意味の造語だ。

その手段として、「ミューイング」(舌を上あごにつけてあごのラインを整える)や、はるかに危険な「ボーン・スマッシング」(ハンマーなどで顔面をたたく)といった方法まで推奨されている。

こうした状況に対し、医学研究者のダニエル・カニック率いる研究チームは、魅力的な外見にこだわる「病的に近い強迫観念」が未成年と成人男性に深刻な影響を与えていると警告を発している。

実際、容姿に自信がなく、自己評価が低い男性が増えており、「筋肉ディスモルフィア」(身体醜形障害の一種で、自分の体は貧弱だと思い込む)も増加している。

「若年層の性的対象化」について調査したイギリスの研究では、少年たちの間で「体にフィットする服を着て筋肉を誇示し、支配的な態度を取る」同調圧力が強まっていることが分かった。

筆者がカナダのトロント大学とマクユーアン大学で行った学生の聞き取り調査でも、多くの男子学生がソーシャルメディアとそこに登場するインフルエンサーやセレブの影響で自分の容姿を過剰に気にするようになったと打ち明けた。

彼らは人と自分を比べ、自分の顔立ちや体形は見劣りがすると思い込んでいる。

とはいえ、それを美の基準の押し付けと呼ぶ学生はほとんどいない。美しさは歴史的に女性に求められるもので、男にとってはそんな表面的なものは重要ではないという意識があるからだ。

ただし、現実はそう単純ではない。現代社会では、生まれつきであれカネを払って得た美貌であれ、見た目の良さで得することはあっても損することはまずない。

見た目を良くする製品やサービスを提供する企業にとっては、男性向け市場は未開拓の有望市場だ。英調査会社ミンテルの2024年の市場調査によれば、男性の半数以上が顔用のスキンケア製品を使っている。

現在、世界の美容市場の規模は4500億ドルだが、その中でも男性向け美容市場は27年までに50億ドル超に成長すると見込まれている。

もっとカネをかけて徹底的な改造を試みる男性もいる。顔や体の美容整形手術を受ける男性が増えていると、米形成外科学会は報告している。ヒアルロン酸やボトックスの注射などメスを使わない施術を受ける男性も増加中だ。

あくなき「美の探求」はもはや女性だけのものではない。

Reference

Konig DJ, Sidhu AS, Corpuz GS. Looksmaxxing: Straddling the Inflection Between Self-Enhancement and Self-Harm. Facial Plastic Surgery & Aesthetic Medicine. 2026;0(0). doi:10.1177/26893614251409793

The Conversation

Jordan Foster, Assistant Professor, Sociology, MacEwan University

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.


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