偏差値が測定できない「ボーダーフリー大学」が象徴する教育困難校の実態
chinaview - iStockphoto
大学を偏差値でランク分けしたとき、不合格者が少なすぎて偏差値が測定不能な「BF(ボーダーフリー)」とされる大学がある。教育ジャーナリストの朝比奈なをさんは「BF大学では、高等教育の学習が困難なケースが少なくないため、『教育困難大学』といえる」と指摘。現場で奮闘する教員の姿に迫った――。
大学をランク付けする「受験偏差値」
文部科学省の2021年の学校基本調査によれば、日本の大学数803の内、国立大学が86、公立大学が98、私立大学が619となっている。短期大学は総数が315で、国立は0、公立が14、私立301である。この他、高等専門学校が57(内、国立51私立3)、専修学校専門課程が2754(内、国立8、公立183、私立2563)存在し、これら全てが高等教育機関と称されている。
これらの大学が受験偏差値の上から厳密にランク付けされている。ここで、現在、一般的に言われている国内の大学のランク付けに関して概観してみたい。
日本の大学入試は、従来の一般受験、2020年度からは一般選抜と呼ばれる受験方法で大きく二分される。従来のセンター試験、現在の共通テストの受験を必須とし、その後に各大学・学部等による個別テストを行う2段階の選抜を原則とし多数の受験科目が課される国公立大学と、3科目程度の受験科目が課される私立大学である。
私立で共通テストを利用する入試もあるが、そこで課される科目数はやはり1〜3科目程度である。国公立大学はその受験難易度の上位から東京大学・京都大学をトップに旧帝国大学の系譜を引く大学が続き、以下、全ての大学のランクが決められている。
入試が選抜機能を果たさない「BF大学」
私立大学は受験偏差値の上から「早慶上智」(ICU〈国際基督教大学〉を含むこともある)、続いて関東圏では「GMARCH」、関西圏では「関関同立」、さらに関東圏の「日東駒専」と関西圏の「産近甲龍」となり、次に「大東亜帝国」が続き、一番下には入試が選抜機能をほとんど果たしていない大学群がある。
実は、国公立・私立大学のどちらも一般選抜以外の受験方法が定着して既に久しい。国公立大学は今でも一般選抜での入学者が大多数だが、私立大学全体では総合型選抜(以前のAO入試)や学校推薦型選抜(以前の指定校推薦や一般推薦等)で入学する学生が半数を超えている。
受験偏差値は入学する学生の一部に関係するだけなのだが、偏差値によるランク付けは根強く定着している。入試が選抜機能を果たしていない大学とは、どのような大学なのだろうか。