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10年後の死亡率が最も低い睡眠時間は何時間か 日本人が知らない睡眠負債の恐怖

2019年2月25日(月)18時15分
西野精治 (スタンフォード大学医学部精神科教授 ) *東洋経済オンラインからの転載

長距離トラック運転手や深夜バス運転手による居眠り事故なども、不規則な勤務体制による慢性的な睡眠不足が原因で起きることがしばしばあります。古くは、チェルノブイリ原発事故、スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故なども、職員の睡眠不足が関係していたといわれています。

ヒトは一定の睡眠時間を必要としている。では、その「一定の睡眠時間」とは何時間なのでしょうか。睡眠はまだメカニズムがわかっていない点も多いため、疫学(集団の現象から、病気の原因や影響などを研究する学問分野)が参考にされます。

睡眠時間7時間が、死亡率が最も低かった

2002年、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、保険会社とアメリカがん協会の協力のもと、110万人を対象にして行なった疫学調査の結果を発表しました。110万人という大規模な調査だったため、これは当時、メディアでも話題になりました。

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これによると、アメリカにおける平均的な睡眠時間は男女とも7.5時間という結果でした。当然、ばらつきはあります。3時間、4時間睡眠の人もいれば、10時間以上の人もいます。ただ、データは平均値を頂点として正規分布していました。

この調査チームは、6年間にわたって追跡調査を行い、睡眠時間と死亡率の関係も調べています。それによると、最も死亡率が低かったのは、睡眠時間が約7時間(6.5時間以上7.5時間未満)の人たちだったことがわかったのです。

睡眠時間が短い人、例えば3時間睡眠の人たちの場合、死亡率は1.3倍ほど高かった。一方、7時間より睡眠時間が長い人もまた、死亡率が上がっているという結果でした。

実は、これと同じような調査結果が、日本でも出ています。名古屋大学の研究で、40歳から79歳の男女約10万人について10年間の追跡調査をしたもので、平均睡眠時間は男性7.5時間、女性7.1時間。10年後の死亡率がいちばん低かったのは、睡眠時間が7時間(6.5時間以上7.5時間未満)の人たちで、睡眠時間がそれより短くなるほど、あるいは長くなるほど、死亡リスクが増しているという結果でした。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
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