最新記事

アメリカが愛する大谷翔平

【独占インタビュー】マドン監督が語る大谷翔平「やっとショーヘイという人間が分かってきた」

DON’T MISS THIS SUPERSTAR

2021年10月6日(水)15時00分
スコット・ミラー(MLB専門スポーツジャーナリスト)
エンゼルスの大谷翔平とマドン監督

全幅の信頼 選手の自主性を尊重するのがマドン流だ(今年9月の対アストロズ戦で味方の攻撃を見守る監督と大谷) TIM WARNER/GETTY IMAGES

<「球団は偉大な才能を邪魔してはいけない」エンゼルスのマドン監督が本誌に語った大谷翔平との関係性、二刀流での連日出場を解禁した舞台裏、ショーヘイが一番気にしていたこと>

メジャーリーグ史に残る大谷翔平の「リアル二刀流」を開花させたロサンゼルス・エンゼルスの名将ジョー・マドン監督。今季の大谷はどうして成功したのか。米野球界にとって大谷はどんな存在か。MLB専門ジャーナリストのスコット・ミラーがマドンに聞いた。

◇ ◇ ◇

――あなたはこの夏ずっと、ファンやライバルチームの選手たちの大谷に対する反応を見てきた。大谷はMLBにとってどんな存在か。

これは私がメンバー表の一番上に書いていることでもあるが、合言葉は「見逃すな」だ。見逃すな、そして、いま目にしていることを過小評価するな。慣れっこになるな。来季も、その次も、いつでも見られると思ったら大間違いだ。

しかも、彼はとても謙虚に奇跡を成し遂げている。彼が注目を一身に浴びているのは見てのとおり。想像してみてほしい。彼が東京の街を歩いたらどうなるか。(ビートルズの)ジョンとリンゴとジョージとポールが1人の人間になって歩いているようなものだ。彼がやっていること、そして、そのやり方は称賛に値する。誰にもまねできない。

若手が奮起して彼を見習うとしたら、それは素晴らしいことだ。そうなってほしい。球団組織やフロントも(他の選手を二刀流で起用する欲を)大いに刺激されたはずだ。

ショーヘイについて言えるのは、彼は(二刀流を認める球団と)契約したということだ。後は彼のやりたいようにやらせるだけ。ああしろ、こうしろとうるさく言わないこと。

コントロールしようという意識が強過ぎるとダメだ。選手の自主性を認めること。はたから見て言いたくなることは山ほどあっても、本人の気持ちを尊重しないと。

(投打両方をこなす)選手がもっと増えればいいと思うなら、選手の自主性を尊重する風土が育たないといけない。多くのMLBのフロントは主導権を手放したがらない。誰もがコントロールしたがる。だが偉大な才能の邪魔をしてはいけない。彼は既にその(偉大な才能という)言葉にふさわしい働きをしている。この状態が今後数年続いたら、(二刀流が)当たり前になるだろう。彼の影響は計り知れない。

――先シーズンの大谷は、登板日の前日や翌日には打者として試合に出ることはなく、調整や疲労回復に努めた。今年はその「大谷ルール」が外され、ほぼ連日出場している。シーズン初めに決めたのか。いつ、どこで、どんな話をして決めたのか。

決めたのは(エンゼルスのキャンプ地であるアリゾナ州)テンピーの小さな会議室で、だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、中距離弾でウクライナ攻撃 西側供与の長距離

ビジネス

FRBのQT継続に問題なし、準備預金残高なお「潤沢

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中