最新記事

自己啓発

賢い人はそう答えない......「相手をがっかりさせる人」が会話の初め5秒でよく言う言葉とは

2022年1月10日(月)17時20分
樋口裕一(多摩大学 名誉教授) *PRESIDENT Onlineからの転載

この「答えの最初のひと言」は、新聞記事の大見出しのようなものと考えればよい。

「五輪開幕」「首脳会談成功」「ロケット打ち上げ延期」など、新聞記事は必ず内容がひと目でわかるキャッチーなフレーズではじまる。この大見出しがあるから、読者はできごとを予測しながら記事を読んでいけるのだ。

次にポイントを絞って簡潔にまとめる

そして、このフレーズの後に、自分なりにポイントを絞った答えをコンパクトにつなげる。これが、新聞記事のリードに当たる。大見出しの後、本文に入る前に数行にまとめられている文章があるだろう。いわゆる要約だ。つまり、

「答えの最初のひと言」
=「話の方向性を示す」+「ポイントを絞ってコンパクトにまとめる」

相手に話の枠をまず見せてあげるのが、頭のいい答え方の基本といえよう。

質問 「A社のパーティはどうだった?」
答え×「盛り上がりました⁉」
答え○「盛況でした。著名なゲストのトークコーナーもあり、例のM&Aの裏話も聞けました」

この例の答えは約5秒。報告の際の目安と覚えておくとよい。

主観だけでは幼稚。かといって、いきなり詳細な報告をはじめると、何の話をされているのか見当がつかず相手は戸惑う。こうした工夫を心掛けていると、小学生レベルの感想から抜け出すことができる。

会話の上級者は最初の一言で相手を引き込む

さらに、上級編もある。問いに対しあえてマイナスで切り込んで相手をハッとさせ、プラスの情報で盛り返す、意表を突く「答えの最初のひと言」だ。

質問 「出張はどうだった?」
答え×「北海道は寒かったです」
答え○「目を疑いましたよ! 地元新聞の広告が効いて、売れ筋商品の在庫がなんとギリギリでした!」

聞いたほうは、まず「一体どういうことだ?」と俄然興味を引かれる。そこで、マイナスからプラスに転じさせることで、相手をこちらのペースに引き込むことができる。

答え方で得している人は、このようなことを日常的に行っているのだ。だから答えるたびに得をする。答えるということは、本来得する行為なのだ。

▼報告の「答えの最初のひと言」は5秒が目安。
▼大人言葉の最初のひと言→「盛況でした」「盤石でした」など。
▼上級編の意表を突く最初のひと言→「ひどいものでしたよ」「史上最悪でしたよ!」「後悔してます」「ありえないことが起こってしまいました」など。

相手が聞きたい答えからズレまくる人も......

ビジネスシーンにおける報告や連絡の場合、「答えの最初のひと言」にどのような情報を入れ込むかが大きな差となって表れる。

自分が見聞きしたたくさんの情報のなかから、どこにポイントを絞るか。そこを間違うと、相手から「一体、何を報告しているのだ?」と思われ、マイナス評価を招く結果となってしまうわけだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 7
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中