最新記事

教育

性教育は妊娠・避妊だけじゃない。「性犯罪から身を守る方法」何歳からどうやって教える?

2021年8月10日(火)16時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
狙われる子ども

tzahiV-iStock.

<家庭で性の知識を身につけることが必要だと、性教育サイト「命育」代表の宮原由紀氏。子どもたちはネットを性の教科書にしてしまっているし、性教育は防犯にもつながるからだ。年齢ごとに必要な知識と伝え方とは?>

「性教育を学校に丸投げしてはいけない」と、性教育サイト「命育」を主宰する宮原由紀氏は言う。

「学習指導要領」(平成29・30年改訂)によると、学校で教える性教育は、小学校4年生で思春期の体の変化を学び、5年生では男女に分かれて、体の悩みや生理用品など、より丁寧な指導を行うというもの。

学校は性教育にそれほど時間を割いていないのが現状だ。

宮原氏によると、子どもたちがより詳しい性の知識を得る場所は、インターネットのアダルトコンテンツだという。

高校生のセックスの情報源は、「友人・先輩」「インターネット」が多い。その友人や先輩もインターネットを参考にしていると考えると、それが子どもたちの性知識の教科書だと言っても過言ではない。

そんな学校教育の現場でも、最近は子どもを狙う性犯罪やSNSに起因する性犯罪に対する防犯意識が高まっている。性教育が変わりつつあるのだ。

しかし宮原氏は、セックスや避妊などの知識を学校で教えられるようになるには、まだまだ時間がかかるだろうと考えている。

一方で、セックスや妊娠、避妊を教えることだけが性教育ではないとも宮原氏は言う。身を守るために、「他人が許可なく自分の体にさわるのはいけない」と教えることも性教育であり、さわられたときに「おかしい」と子どもが気づけることも大切な知識である。

それらは防犯意識に留まらず、自分や他人を大切にすることにもつながる。できるだけ小さい頃から、家庭で、性の知識を身につけることが必要なのだ。

そうは言っても、親子間で性の話は気まずいというのが正直なところだろう。

2018年、宮原氏は、そんな親たちの「困った」をヒントに「命育」(https://meiiku.com/)を立ち上げた。医師や専門家の協力のもと、性教育に関する保護者の質問に答えるだけでなく、性に関する悩みを抱える子どもにも寄り添ってくれるウェブサイトだ。

このたび、産婦人科医・高橋幸子氏の監修のもと『子どもと性の話、はじめませんか?――からだ・性・防犯・ネットリテラシーの「伝え方」』(CCCメディアハウス)を出版した宮原氏。本書では、幼児期から思春期まで、その年齢ごとに必要な性の知識や伝え方を知ることができる。

「あやしい人に気をつけて」では子どもは分からない

本書で児童期(小学校低学年~中学年ごろ)の子どもに教えておきたい知識のひとつとして挙げられているのが、性犯罪から身を守る方法だ。この時期は、放課後に友達の家や公園に行くなど、ひとり行動が増える。

「命育」に参画している精神保健福祉士の斉藤章佳氏によると、ペドフィリア(小児性愛障害)の多くはごく平凡な人だという。

お世話になっている人など、顔見知りの可能性も高い。さらに性被害は、女の子に限らない。男の子も注意が必要だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ高官、「国益守られる」と評価 有志国会合

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、12月2%に減速 ECB目標と

ビジネス

独失業者数、12月は予想下回る増加 失業率6.3%

ビジネス

シェブロン、ルクオイル海外資産入札でPEと連携 2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 5
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 6
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 7
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中