「残業時間別」で見た日々の暮らしと仕事のリアル 10時間、40時間、80時間、200時間──最も不幸を感じるのは?
「残業時間」からその会社のライフスタイルが見えてくる (写真はイメージです) tunart-iStock
私が就活生の支援を始めてから、ちょうど10年になります。ある就活生が、私へこんな相談をしにきてくれました。
「激務」の基準は変わってきた
彼は「タフなので激務でも大丈夫です!」と快活に言ったので、「激務って、大体何時に帰宅するくらいまで耐えられる?」と、問いかけてみたところ「21時です!」と、明るい声が返ってきました......。いっとき会社に寝泊まりして働いていた私にとっては、ずっこけてしまうような話です。
そう、この10年で働き方は革命的に変わっています。そして、自分の労働時間をみんな「標準的」だと思っている。だから残業が月10時間の人は、月の残業80時間の人生を想像できません。
そこで今回、月残業10時間から230時間までを経験してきた自身の体験を踏まえて、それぞれのライフスタイルを解説していきたいと思います。就活生や転職希望者の参考になれば幸いです。
■残業月10時間の暮らし:18時以降の予定は自分次第
平日の18時にヘアサロンへ行ける。それが残業月10時間のライフスタイルです。帰り道のスーパーで何を買って作ろうかな、なんて考えながら退勤する。会社の終業時刻によっても異なりますが、17時半にもなればオフィスに残っている人はまばらです。
本当は残業なしがいいけれど、現実的にそうはいかない日だってあります。たとえば、退勤ギリギリに電話でお問い合わせが来てしまったり、今日中で頼まれた仕事が少し長引いてしまったり。
子供ができてからは、戦々恐々。なにしろ、保育園へお迎えに行く時間が少し伸びただけで延長保育料を払わなくてはいけないからです。お子さんを迎えに慌ただしくパパさんが退勤していきます。その背中を見送って、最後にオフィスの鍵をかけるのが18時半~19時ごろ。夏なら、外はまだ明るいうちに退勤できます。
こういった企業にお勤めの方は、明確にワークライフバランスを意識して働いているケースが多くなります。たまに、「厳しくても成長できる職場で挑戦してみたい」「やりがいのある仕事をしたい」と、転職していく方がいます。
では、実際にどんな会社が該当するのでしょうか。『就職四季報2022年版』調査をもとに作成した、シキホー!Mineの「残業時間が少ない100社」では、すべての企業が10時間を切っています。
■残業月40時間の暮らし:せっかくだし、少し飲んで帰ります?
時計を見たら19時半。ちょっと疲れたな。お腹もすいたし。そんなタイミングで、職場の先輩が「ちょっと飲んで帰らない?」と声をかけてくれたので、奢ってもらうことになってラッキー。
そんな暮らしが実現できるのが、残業月40時間以下の会社です。家族がいる方も、20時半には帰宅。ギリギリご飯には間に合うくらいでしょうか。お子さんがいる家庭では、延長保育の限界が19時なこともあって、時短勤務を申請するケースが多いようです。