最新記事

経営

81歳の経営コンサルタントが説く、普通の人にいい仕事をさせる仕組み

2018年5月15日(火)11時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

写真はイメージです stockstudioX-iStock.

<60年代の「岩戸景気」の頃にサラリーマンになり、今も現役で活躍。そんなベテラン経営コンサルタントの黒字化ノウハウは、意外なものだった>

経営コンサルタントという職業が一般的になったのは、一体いつ頃からだろうか。最近よく見るようになったと感じている人も多いかもしれないが、実は日本でも65年以上の歴史がある。

経営コンサルタントは特定の資格ではないが、企業経営全般に関する診断や助言を業務とする国家資格に「中小企業診断士」がある。これの前身が誕生したのが1952年で、国家資格として制定されたのが1963年。ジョン・F・ケネディ米大統領が暗殺された年だ。

この頃にサラリーマンとなり、働きながら30代で中小企業診断士の資格を取得。その後、社長業を経て経営コンサルタントとなり、今も現役で活躍中の人物がいる。御年81歳を迎える児島保彦氏だ。

高度経済成長期から現代までの急激な社会変化を経てなお、児島氏が企業経営というビジネスの第一線で手腕を発揮し続けられている背景には、「会社は本来、儲かるようにできている」という哲学がある。

高度経済成長とともに歩んだサラリーマン時代

児島氏が大学を卒業した1961年は、高度経済成長が始まり、「岩戸景気」と呼ばれる景気拡大期のただ中だった。「鉄は国家なり」と言われていた時代でもあり、児島氏も、インフラ整備を担うセメントメーカーのひとつ、大阪セメント(現・住友大阪セメント)に入社した。

働けば働くほど成績は上がり、給料も毎年のように1〜2割アップしていき、社内での地位も上がっていったという。30歳頃からは勉強にも力を入れた。当時、建設会社の倒産は珍しくなく、セメントメーカー側は不渡り手形をつかまされたり、夜討ち朝駆けで資金回収をしたりと苦労も多かったからだ。

産業能率短大の夜間部に通った児島氏は、卒業の翌年に中小企業診断士の資格を取得。この頃に学んだことが、その後の経営者として、そして経営コンサルタントとしての成功に大いに役立っている、と児島氏は語る。

2度のオイルショック(1973年と1979年)で高度経済成長は終わりを告げたが、しばらくして、日本はバブル景気へと突入。その後バブルは崩壊するが、児島氏の人生を変えたのはバブルでもバブル崩壊でもなく、1989年以降の日米構造協議でアメリカに要求された、独占禁止法の強化だったという。

それまで「護送船団」と呼ばれる国ぐるみの談合がごく普通に行われていた状況から、唐突に競争社会へと放り込まれた日本企業の多くが、単独では生き残れなくなった。そこにバブル崩壊が追い打ちとなり、児島氏が勤めていた大阪セメントも、住友セメントと合併する道を選んだのだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 8
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中