最新記事

キャリア

オフはとにかく休みたい、会話は仕事の話ばかり、という日本人

2018年3月20日(火)15時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

percds-iStock.

<日本では仕事が中心でオフは二の次という風潮があるが、これからの時代を生き抜くにはオフの過ごし方も変えなければいけないと、元外交官のコンサルタントは言う>

これまで4万人に及ぶ国内外のリーダーやその候補と向かい合ってきた元外交官で、グローバルリーダー開発を本業とするトレーナーの山中俊之氏は言う。グローバル化とAI(人工知能)化は、今後ますます日本のビジネスパーソンにとって脅威になる――。

ではどう対処すればいいのか。山中氏によれば、6つの習慣を身につけて自らの市場価値を上げ、世界に通用する人材になるしかない。

山中氏は新刊『世界で通用する「地頭力」のつくり方――自分をグローバル化する5+1の習慣』(CCCメディアハウス)の中で、その6つの習慣を現役世代のビジネスパーソンに向けて体系立てて説明している。6つの習慣とはすなわち、「情報」「知識」「ワークスタイル」「コミュニティ」「オフ」「英語」を"変える"ことだ。

これらを"変える"とは、どういうことか。ここでは本書から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。第2回は「第5の習慣 『オフ』を変える」より、2カ所を抜粋する。

そもそも「世界の第一線で活躍するビジネスパーソンで日常的に疲れている人はあまりお目にかかりません」と山中氏は言う。果たして日本人は、どんなオフを過ごし、それの何が問題なのだろうか。

※第1回:社会に出たら学ばない──日本人の能力開発は世界最低レベル

◇ ◇ ◇

充実したオフになっていない

疲れているので休みがほしいという人は周囲にも多いと思います。しかし、その休み(オフ)の使い方となるとどうでしょうか。各種調査によると、日本人はオフでは睡眠を重視する傾向がある一方で、スポーツや芸術などの活動には受身の傾向があることがわかっています。つまり、オフで何かをしたいというよりも、とにかく休みたいという人の比率が高いのです。

では、充実したオフとはなんでしょうか。それは本業への刺激があることです。

個人的な旅行がビジネスのネタにつながることは大いにあります。建築や都市開発を仕事にしている人が海外で建築物や都市を見て相当に刺激を受けたとか、新たなものを生み出す芸術というものの意義がわかったというような話をよく聞きます。ビジネスとは独自性を必要とするものですが、芸術こそ独自性を求める最たるものとは多くの芸術家が指摘しているとおりです。

また、オフとは本業以外での楽しみや充足感を得るためのものでもあります。私たちは仕事で自己実現を求めますが、実はそれだけでは満足できません。地元の少年サッカーチームの監督でも、フルートの演奏でも、趣味で絵を描くことでもよいのです。何か楽しみ、充足感を得る活動が必要です。

海外出張で会議の後の夕食会が辛いと感じている人が少なくありません。もちろん外国語での食事会が苦痛ということもあるようですが、そもそも話題に困るというのが本音のようです。会話の中心が仕事ばかりでは誰もが疲れてしまいます。話題を豊富にするためにもオフの充実が欠かせません。

オフの過ごし方で近年、社会的課題になっているのが、引退後の過ごし方です。これは特に男性に言えるようです。国立社会保障・人口問題研究所の『生活と支え合いに関する調査』では、「会話頻度が2週間に1回以下」という男性が年代を問わず女性よりも多く、60歳以降では激増しています。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

再送 -EUが米ファイザーRSVワクチン承認拡大、

ワールド

米民主上院議員が25時間以上演説、過去最長 トラン

ワールド

メキシコ政府、今年の成長率見通しを1.5-2.3%

ワールド

米民主上院議員が25時間以上演説、過去最長 トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中