オフはとにかく休みたい、会話は仕事の話ばかり、という日本人
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<日本では仕事が中心でオフは二の次という風潮があるが、これからの時代を生き抜くにはオフの過ごし方も変えなければいけないと、元外交官のコンサルタントは言う>
これまで4万人に及ぶ国内外のリーダーやその候補と向かい合ってきた元外交官で、グローバルリーダー開発を本業とするトレーナーの山中俊之氏は言う。グローバル化とAI(人工知能)化は、今後ますます日本のビジネスパーソンにとって脅威になる――。
ではどう対処すればいいのか。山中氏によれば、6つの習慣を身につけて自らの市場価値を上げ、世界に通用する人材になるしかない。
山中氏は新刊『世界で通用する「地頭力」のつくり方――自分をグローバル化する5+1の習慣』(CCCメディアハウス)の中で、その6つの習慣を現役世代のビジネスパーソンに向けて体系立てて説明している。6つの習慣とはすなわち、「情報」「知識」「ワークスタイル」「コミュニティ」「オフ」「英語」を"変える"ことだ。
これらを"変える"とは、どういうことか。ここでは本書から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。第2回は「第5の習慣 『オフ』を変える」より、2カ所を抜粋する。
そもそも「世界の第一線で活躍するビジネスパーソンで日常的に疲れている人はあまりお目にかかりません」と山中氏は言う。果たして日本人は、どんなオフを過ごし、それの何が問題なのだろうか。
※第1回:社会に出たら学ばない──日本人の能力開発は世界最低レベル
充実したオフになっていない
疲れているので休みがほしいという人は周囲にも多いと思います。しかし、その休み(オフ)の使い方となるとどうでしょうか。各種調査によると、日本人はオフでは睡眠を重視する傾向がある一方で、スポーツや芸術などの活動には受身の傾向があることがわかっています。つまり、オフで何かをしたいというよりも、とにかく休みたいという人の比率が高いのです。
では、充実したオフとはなんでしょうか。それは本業への刺激があることです。
個人的な旅行がビジネスのネタにつながることは大いにあります。建築や都市開発を仕事にしている人が海外で建築物や都市を見て相当に刺激を受けたとか、新たなものを生み出す芸術というものの意義がわかったというような話をよく聞きます。ビジネスとは独自性を必要とするものですが、芸術こそ独自性を求める最たるものとは多くの芸術家が指摘しているとおりです。
また、オフとは本業以外での楽しみや充足感を得るためのものでもあります。私たちは仕事で自己実現を求めますが、実はそれだけでは満足できません。地元の少年サッカーチームの監督でも、フルートの演奏でも、趣味で絵を描くことでもよいのです。何か楽しみ、充足感を得る活動が必要です。
海外出張で会議の後の夕食会が辛いと感じている人が少なくありません。もちろん外国語での食事会が苦痛ということもあるようですが、そもそも話題に困るというのが本音のようです。会話の中心が仕事ばかりでは誰もが疲れてしまいます。話題を豊富にするためにもオフの充実が欠かせません。
オフの過ごし方で近年、社会的課題になっているのが、引退後の過ごし方です。これは特に男性に言えるようです。国立社会保障・人口問題研究所の『生活と支え合いに関する調査』では、「会話頻度が2週間に1回以下」という男性が年代を問わず女性よりも多く、60歳以降では激増しています。