最新記事
経営

育休の欠員をどうカバーする? 「助成金を使う」という手もある

2023年4月14日(金)11時40分
加藤知美 ※経営ノウハウの泉より転載
妊婦

写真はイメージです maruco-iStock.

<昨今は男性の育児休業取得も推奨されているが、現実には、中小企業では欠員を埋めるのが難しいという問題がある。育休制度の会社への影響にはメリット・デメリットがあるが......>

ワーク・ライフ・バランスや働き方改革が推奨される中、出産や育児をしながら働くことを選択する女性が増加しています。昨今では、男性が育児休業を取得することが推奨されていることもあり、育児休業の取得する社員はさらに増加していくでしょう。

しかし、企業規模の小さい中小企業では、社員一人ひとりが抱える比重が大きいこともあり、育児休業中の社員が欠けた部分の仕事をどのようにこなしていくか、という問題もあるのではないでしょうか?

今回は、社員が育児休業を取得することで企業にはどのような影響が生じるか、また育児休業制度による欠員が生じている職場の負担をどのように軽減するか、さらに育児休業から復職した社員への対応内容についても、あわせて解説をしていきましょう。

育休制度による会社の影響とは?

育児休業とは、男女問わず、子育てをしながら働く社員が取得することのできる休業のことです。

2021年に育児・介護休業法という法律が改正され、男性の育児休業取得を促進するための制度や、育児休業の分割制度の導入など、より多くの社員が育児休業を取得しやすいような環境づくりが行われています。

育児休業制度による会社へのメリットとデメリットを見ていきましょう。

■メリット1:保険料負担を免れる

育児休業中の社員に関する保険料負担を免れることができます。まず、月々の給料については、ノーワークノーペイの原則により、支払う義務はありません。そのため、給料額に応じて算出される雇用保険料や労災保険料も発生しないことになります。さらに、社会保険料についても、手続きを行うことで免除対象となります。つまり、会社側では育児休業中の社員の生活保障を行う必要がなく、育児休業を取得した雇用保険に加入している社員は、国から支給される育児休業給付を受けながら生活をすることになります。社会保険料免除について知りたい方はこちら。

■メリット2:人材の長期育成ができる

育児休業を取得する社員が増加することで、出産や育児を理由に退職する社員が減少し、長期的に社員をキャリアアップさせる体制を整えることができます。仕事のスキルは一朝一夕に身につくものではなく、日々の経験が大きな影響を及ぼします。育児休業を経て働き続ける社員が増加することで、長期にわたり社員のキャリア形成を行うことが可能になり、会社全体のステップアップへとつながるでしょう。

■デメリット1:欠員により社員に負担がかかる

社員が育児休業を取得すると、当然ながらその社員は欠員となり、残った社員の負担がかかります。自身が行う業務に加え、数ヶ月から数年に及び欠員となる社員がこなしていた業務も行わなければならず、日々の仕事状況に影響があることが予想されます。

■デメリット2:組織の体制に影響が出る

メンバー同士で補える業務もありますが、管理職など、組織の管理体制において重要なポジションの社員が育児休業を取得する場合もあります。そうなると、指揮命令を行う立場の者がいなくなることから、業務に影響がある可能性があるでしょう。

(参考記事)従業員が安心して育休取得、復帰ができるように。企業の育休対応に関する相談まとめ

試写会
『シンシン/SING SING』ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国との建設的な対話に全面的にコミット=ゼレンスキ

ワールド

米、ロシアが和平合意ならエネルギー部門への制裁緩和

ワールド

トランプ米政権、コロンビア大への助成金を中止 反ユ

ワールド

ミャンマー軍事政権、2025年12月―26年1月に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 3
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMARS攻撃で訓練中の兵士を「一掃」する衝撃映像を公開
  • 4
    同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つ…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 8
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中