輪廻転生=ゲーム理論? 仏教の教えは極めて合理的だった...教養で世界の見え方が変わる
野村高文氏(本人提供)
<幅広い教養を持つことで、自分の視点と他人の常識が見えてくる。学問に触れることの重要性を、『視点という教養』共著者・野村高文氏に聞く>
各界のトップランナーに読書に関する取材を重ね、自身も書籍編集やラジオでの書評コンテンツに携わってきた、音声プロデューサーの野村高文さん。音声コンテンツのさらなる可能性を探求しようと、2022年にPodcastレーベル「Chronicle(クロニクル)」を立ち上げました。
そんな野村さんは、歴史を面白く学ぶCOTEN RADIO(コテンラジオ)でおなじみ、株式会社COTEN代表取締役・深井龍之介さんとの共著『視点という教養』を出版されました。本書にどんなメッセージをこめたのでしょうか? 野村さん自身がリベラルアーツを学ぶ面白さを実感した原体験にも迫ります。
※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。
なぜ、いま、多様な「視点」を得ることが大切なのか?
「a scope ~リベラルアーツで世界を視る目が変わる~」というPodcastを始めたきっかけは、深井龍之介さんが「歴史だけでなく、さまざまな学問を視野に入れたい」という構想を語ってくれたことです。私が当時ちょうどNewsPicksで音声事業をしていたこともあり、すぐに新しいPodcastをはじめよう、と意気投合しました。物理学、文化人類学、仏教学、歴史学、宗教学、教育学、脳科学。各界の専門家との対談は非常にワクワクするもので、それを書籍化したのが『視点という教養』です。
変化が激しい時代では、自分にとっての常識がいつのまにか世の中の常識とずれていってしまう。それによって、他者を傷つけるおそれもある。私にはそんな課題意識がありました。常識とのずれに気づくためには、自分の視点は、数ある中の一つであって絶対的なものではないと認識する必要があります。だからこそ、他者のもつ多様な視点を知ることが大切だと感じていました。
他者の視点を知るうえで、さまざまな学問にふれることは有用です。学問は人類が連綿と英知を受け継ぎ、セオリー化したものです。さまざまな学問にふれて、そのフィルターを通すことで、見える世界が変わる。それにより他者の視点を学びやすくなります。
『視点という教養』
著者:深井龍之介、野村高文
出版社:イースト・プレス
要約を読む
仏教はきわめてロジカル? 輪廻転生をゲーム理論で解説
どの専門家との対談も非常に面白かったのですが、特に印象深かったものを1つあげるとしたら、実験寺院寳幢寺・僧院長の松波龍源さんに登場いただいた、仏教学です。反響も特に大きかったですね。
驚いたのは、仏教の思想体系が実にロジカルにできていること。しかも、社会科学が仏教の真理を裏づける状態になっています。
たとえば、ガウタマ・シッダールタはなぜ輪廻転生を説いたのか。これはゲーム理論の「囚人のジレンマ」で説明がつく、と龍源さんは説きます。