最新記事

文章術

読む人の心を撃つ「うまい文章」を書くためのシンプルな三原則

2021年11月5日(金)11時23分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
文章の執筆

fizkes-iStock

<プロのライターや記者も共感。朝日新聞・編集委員が書いた文章術のベストセラー『三行で撃つ』より、うまい文章を書くための3つの原則を抜粋>

「感極まって泣いた」「生きる姿勢を問われている気がした」「言葉を大切にしていきたい」「まるで哲学書」――文章の書き方を解説するビジネス実用書にしては、「らしくない」感想が多数寄せられている本がある。

昨年末の発売以来、アマゾンのレビュー数はすでに290件に迫り、SNSの口コミを中心に新たな読者を増やし続けている『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾』(CCCメディアハウス)だ。現在4刷のベストセラーとなっている。朝日新聞・編集委員で、名文家として知られる近藤康太郎氏が、「ちょっとうまく書けたら、と思う人」たちへ向けて書いた。

『三行で撃つ』は、人の心を撃つための文章技術25発で構成されている。読者の「文章習熟レベル」に合わせて、常体と敬体を書き分けながら、書き出し、起承転結、一人称、文体、リズムといったテクニックを解説する。が、これではなぜ、文章術のビジネス実用書流行りの昨今、本書が異色の1冊として受け止められているのか、お分かりいただけないだろう。

そこで、本連載では、『三行で撃つ』からの抜粋を2回にわたって紹介したい。ただ概要を説明するだけでは、魅力が伝わらない。本書のベースを流れるのは、技術指南にとどまらない思想である。他の文章術とはまるで異なる理由が、そこにある。前編は、うまい文章について解説した「第2発 うまい文章――うまくなりたいというけれど。」をお届けする。

三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾
 近藤康太郎 著
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

◇ ◇ ◇

【Hop】■「うまい」とはなにか

うまい文章とはなにか。

うまい文章を定義するのは、とても難しいですね。答えることが難しい質問とは、たいてい、問いが間違っているんです(「幸せとはなにか?」「自分はなぜ生まれてきたのか?」「ほんとうの愛とはなにか?」等々)。

そういうときは、問いを変えるとうまくいきます。ここでは、冒頭の問いを分節してみます。

「うまい」とはなにか。
「文章」とはなにか。

「うまい」とはなんでしょうか。初心者向けのホップでは、もう、投げやり気味に簡単に結論を出してしまいます。

うまい文章とは、分かりやすい文章である。

分かりやすいとは、書き手のいいたいことが、誤解されずに読者に伝わる文章、とでもしておきましょう。

ここでは、その逆、分かりにくい文章の傑作をひとつ掲げます。会社の会合で、幹事からこんなメールが来たらどうでしょうね。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国CPI、2月は0.7%下落 昨年1月以来のマイ

ワールド

米下院共和党がつなぎ予算案発表 11日採決へ

ビジネス

米FRBは金利政策に慎重であるべき=デイリーSF連

ワールド

米国との建設的な対話に全面的にコミット=ゼレンスキ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望的な瞬間、乗客が撮影していた映像が話題
  • 3
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手」を知ってネット爆笑
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 6
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 7
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 8
    中国経済に大きな打撃...1-2月の輸出が大幅に減速 …
  • 9
    鳥類の肺に高濃度のマイクロプラスチック検出...ヒト…
  • 10
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 6
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 7
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中