コラム

中国が日本に「都市化」を学ぼうとしているが、ちょっと待ってほしい

2018年04月04日(水)17時48分

中国の格差は今でも絶望的なまでに大きいのに

そもそも、中国の都市政策は矛盾している。習近平政権では新型都市化を最重要課題として打ち出し、農村住民を都市に移住させようとしている。その一方で、北京や上海など超大型都市では「低端人口」(低レベル住民)の追い出しを図り、都市改造の名の下に貧困層が住む地域を取り壊し、住民を強制的に追い払っている。

本当に必要なのは、巨大都市を作り出す政策ではない。都市も農村もバランスよく発展させることが重要なのだ。

日本ですら都市と田舎には大きな格差があるが、中国の格差ははるかに大きい。新宿副都心が子供だましに見えるような超高層ビル街が全国各地に登場し、大都市中心部の威容はすでに世界一だ。

その一方で街から少し離れると、土ぼこりが舞う古臭い田舎がそのまま残されている。現時点でこれほどの地域格差があるのだ。今後、都市化を進めれば、ますます格差はかけ離れていくだろう。

先ほど都市化のメリットとして生産性の向上を挙げたが、実はもう1つ「メリット」がある。それは不動産市場の成長だ。古い建物を壊し、新しい都市を作る。この過程においては莫大な予算が必要となる。

だが巨大な予算があれば、必ず巨大な汚職が生まれる。それが中国だ。

絶望的なまでに都市と田舎の格差が開いた中国で、なぜこれ以上に格差を広げる都市化を推進しようとするのか。あるいは都市化がもたらす、汚職という豊穣な果実が中国の政治家を魅了しているのかもしれない。

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月7号(3月31日発売)は「日本企業に迫る サステナビリティ新基準」特集。国際基準の情報開示や多様な認証制度――本当の「持続可能性」が問われる時代へ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:トランプ関税で変わる米国のメニュー、国産

ワールド

米戦闘機2機、イランが撃墜 乗員2人救助・1人不明

ビジネス

アングル:インドへの高級ブランド進出、実店舗スペー

ビジネス

米地裁、FRB議長の召喚状差し止めの判断維持 検察
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 8
    中国は「アカデミズムの支配」を狙っている? 学術誌…
  • 9
    イラン戦争は「ハルマゲドンの前兆」か? トランプ…
  • 10
    60年前に根絶した「肉食バエ」が再びアメリカに迫る.…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story