- HOME
- コラム
- Edge of Europe
- リナ・サワヤマ、イギリスを熱狂させる2つの才能、2…
リナ・サワヤマ、イギリスを熱狂させる2つの才能、2つのルーツ【世界が尊敬する日本人】
GUS STEWART-REDFERNS/GETTY IMAGES
<新潟県で生まれ、ロンドンで育った新世代のシンガーソングライター。世界中に熱狂的なファンを獲得し、エルトン・ジョンも称賛する。この夏には「イギリス人」の定義をも塗り替えることになった>
※8月10日/17日号(8月3日発売)は「世界が尊敬する日本人100」特集。市川海老蔵、CHAI、猪子寿之、吾峠呼世晴、東信、岩崎明子、ヒカル・ナカムラ、菊野昌宏、阿古智子、小澤マリア......。免疫学者からユーチューバーまで、コロナ禍に負けず輝きを放つ日本の天才・異才・奇才100人を取り上げています。
悪夢のようなデートだ。男性はつまらないことをだらだらとしゃべり、食事のマナーは最悪で、無自覚に侮辱的な発言をしては女性の話を遮る。ついに女性がキレて、黙れと言い放つ。
それはそれでカタルシスに満ちた瞬間だが、リナ・サワヤマ(30)の才能にかかればとてもスタイリッシュで、たまらなく面白い映像になる。
これは彼女のヒット曲「STFU!」のミュージックビデオの一場面。優れたシンガーソングライターというだけでなく、彼女は演技も本物だ。
この2つの才能で、サワヤマはイギリスだけでなく世界中に熱烈なファンを獲得している。日本とイギリスの両方にルーツを持つという点も、彼女の重要な一部だ。
新潟県で生まれ、5歳からロンドンで暮らし、ケンブリッジ大学を卒業。日本人であることを生かしたパフォーマンスも多いが、サワヤマは間違いなくメイド・イン・ロンドンだ。
皮肉なことに、彼女が注目を浴びたきっかけは国籍だった。彼女は日本国籍だという理由で、2020年7月に英国籍のアーティストを対象とするマーキュリー賞のノミネート資格がないとされた。
「イギリス人に、足りてない?」と憤慨する見出しが音楽メディアを超えて広がったのは、ちょうどイギリスが人種差別について議論している最中でもあった。
エルトン・ジョンが称賛
もっと単純に考えれば、その年に最もブレイクが期待されるアーティストが受賞候補から除外されるのはばかげた話だ。
2020年4月にリリースしたデビューアルバム『SAWAYAMA』は、音楽専門誌で5つ星を獲得。実験的なスタイル、レンジの広さ、抜群の洗練性が評価されている。
『SAWAYAMA』を絶賛している1人が、(やや意外だが)エルトン・ジョンだ。自分にとって「年間ベストアルバム」だとたたえ、今年4月には2人でデュエット曲「チョウズン・ファミリー」を発表している。
「リナはインターネットと音楽史全体を指先で感じながら育った世代の代表で、古いジャンルや境界線の概念にとらわれず、本物の愛と理解を持って、好きなものを自在に掛け合わせる。聡明で、自信がにじみ出て、果てしなく魅力的なソングライターでありパフォーマー。それが彼女だ」
シニカルなイギリス風ユーモアでスターマー英首相を斬ると... 2024.11.09
予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄道計画が迷走中 2024.10.31
今までもらった最高のアドバイスって何? 2024.10.12
イギリスのスターマー新首相が早くも支持急落...その3つの理由 2024.10.08
日本人の知らないレンガ建築の底知れない魅力 2024.09.21
愛らしく哀れみ誘う......そんなロバの印象を一変させた恐怖体験 2024.09.03
世界最高レベルの住宅街を舞う大量のインコ 2024.08.31