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焦点:バンス氏対ウォルズ氏、米副大統領候補が来週討論会

2024年09月27日(金)08時36分

 9月25日、米大統領選挙の共和党副大統領候補バンス上院議員(左)と民主党候補ウォルズ・ミネソタ州知事(右)による討論会は、10月1日の米東部時間午後9時(日本時間2日午前10時)から行われる(2024年 ロイター/Tom Brenner)

James Oliphant Stephanie Kelly Gram Slattery

[25日 ロイター] - 米大統領選挙の共和党副大統領候補バンス上院議員は、ベストセラー作家で民主党陣営を中傷するために「子どもがいない猫好き女」という言葉を作り、移民がペットを食べると作り話を持ち出した。

一方の民主党の副大統領候補ウォルズ・ミネソタ州知事は、庶民的な元高校のフットボールコーチで軍歴について疑問がでている。共和党のトランプ大統領候補らは「変人」との呼び方を広めたことでも知られる。

2人とも中西部出身の白人で、地元住民が何を望んでいるかを理解していると主張するが、政策を巡っては意見が大きく異なる。両氏による討論会は、10月1日の米東部時間午後9時(日本時間2日午前10時)から行われる。

副大統領の討論会は大統領討論会に比べて前座的な意味合いが強いが、ウォルズ氏とバンス氏の辛辣な発言は大きな注目を集めており、1回限りの直接対決は有権者の興味を引くことになりそうだ。

9月10日に行われたトランプ氏とハリス副大統領による大統領候補討論会は、ハリス氏が優勢だったとの見方が強い。そのためバンス氏(40)にはプレッシャーがかかっているようだ。

ベストセラーとなった回顧録「ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」の著者であるバンス氏は、オハイオ州スプリングフィールドでハイチ移民がペットを食べるという作り話を積極的に取り上げる理由や、中絶に対する強硬な姿勢について説明を求められるだろう。

ウォルズ氏(60)はミネアポリスで2020年に起きたジョージ・フロイドさん暴行死事件をきっかけとした暴動に、州知事としてどう対処したかを追及される可能性が高い。

<討論戦略>

共和党の討論会準備に携わった人物の一人によると、バンス氏はウォルズ氏を穏健派を装った左派と位置付けようとしている。ウォルズ氏の軍歴についても批判する見込みという。

ウォルズ氏は州兵を24年間務め、05年に下院議員選挙に立候補するため退役した。バンス氏はウォルズ氏が戦闘に参加したと偽り、イラク派遣を避けるため陸軍州兵を離れたと批判している。

共和党のストラテジスト、ロン・ボンジャン氏は、ウォルズ氏に軍歴について尋ねるのは正しいとしながらも、無党派層を引き付けるには、トランプ政権が日常生活の問題をどう解決するかに焦点を当てるべきだと述べた。

クリントン元大統領の側近だったポール・ベガラ氏は、有権者は副大統領候補ではなく大統領候補を基準に選ぶため、バンス氏がウォルツをやり込めたとしても、選挙戦の行方にはほとんど影響はないとの見方を示した。

<討論会の準備>

関係筋によると、トランプ氏の討論会準備が主要顧問との自由形式の政策論議が中心だったのに対し、バンス氏はより伝統的な方法で臨もうとしている。ミネソタ州選出のトム・エマー下院議員を相手に模擬討論を行ったほか、バンス氏の妻やトランプ氏のジェイソン・ミラー上級補佐官が同席するなかでの質疑を行った。

ウォルズ氏について関係筋は、バンス氏と同じ中西部の田舎町出身のブティジェッジ米運輸長官やバイデン政権関係者が協力していると明らかにした。

世論調査ではウォルズがバンス氏をリードしている。ピュー・リサーチ・センターが今月行った調査では、バンス氏が「好ましい」との回答は34%で「好ましくない」は42%に上った。一方ウォルズ氏を「好ましい」としたのは39%で、「好ましくない」は33%だった。

2012年の大統領選でロムニー上院議員の陣営に加わった共和党のマット・ゴーマン氏は、当時の副大統領候補による討論会に言及した。共和党の副大統領候補は政策通のライアン元下院議員、民主党は対人能力に優れるバイデン大統領だった。

ゴーマン氏は「ライアン氏は正しく、効果的に反撃したが、バイデン氏は彼を打ち負かした」と振り返り、「もしウォルズ氏が勝つとすれば、そう戦略を取るからだろう」と語った。

ロイター
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