トランプ氏、16週以後の全米での中絶禁止を非公式に支持=NYT
2月16日、11月の米大統領選の共和党最有力候補であるトランプ前大統領(写真)が妊娠16週以後の中絶を全米で禁止することを非公式に支持している。写真はミシガン州 で17日撮影(2024 ロイター/Rebecca Cook)
Alexandra Ulmer
[16日 ロイター] - 11月の米大統領選の共和党最有力候補であるトランプ前大統領が妊娠16週以後の中絶を全米で禁止することを非公式に支持している。米紙ニューヨーク・タイムズが16日、2人の情報筋の話として報じた。トランプ氏は例外として、レイプや近親相姦、母体に命の危険がある場合を挙げたという。
トランプ氏は長年、中絶問題で曖昧な態度をとってきたが、軸足を鮮明化させる方針に転じるとみられる。
ただ同紙によると、トランプ氏は中絶全面禁止を訴える保守派の離反を避けるため、大統領候補指名を正式に得る前の段階では中絶に関する見解を公式に表明することを避けたがっている。
中絶の権利は大統領選の大きな争点になる見通し。トランプ氏や共和党には足かせとなる可能性がある。
民主党候補指名を獲得して再選を目指すバイデン大統領の陣営は、選挙の行方を左右する激戦州の女性票を掘り起こすため中絶問題に焦点を当てる姿勢が鮮明。個人の自由である中絶を巡って、トランプ氏と共和党は女性から権利を奪おうとしていると批判を強めている。
これに対して共和党は、接戦が予想される大統領選に向けて欠かせないのが保守層の取り込みだ。一方で世論調査によると、無党派層や郊外に住む女性らの間には中絶の全面規制に反対する意見が見られるため、こうした有権者をつなぎ留めておく必要もある。
トランプ氏もこれまでは、中絶を憲法上の権利と認めた「ロー対ウェード」判決を覆した2022年6月の最高裁判決に関し、保守派判事を多数派にしたことを自身の功績としつつ、共和党が優勢ないくつかの州で妊娠6週目以降の中絶を禁止した措置を「ひどい間違い」と批判するなど、賛成派と反対派の立場を状況に応じて使い分けてきた。