ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-EU、電池で中国依存の恐れ 「ロシア頼み並みに深刻」と警告

2023年09月18日(月)13時53分

 欧州連合(EU)は、ウクライナ戦争前にロシアにエネルギーを頼っていたように、リチウムイオン電池や燃料電池でも2030年までに中国に依存する恐れがあるため強力な対応が必要と認識している。写真は中国浙江省のリチウムイオン電池工場。2018年8月撮影(2023年 ロイター)

Belén Carreño

[マドリード 17日 ロイター] - 欧州連合(EU)は、ウクライナ戦争前にロシアにエネルギーを頼っていたように、リチウムイオン電池や燃料電池でも2030年までに中国に依存する恐れがあるため強力な対応が必要と認識している。ロイターが入手したEU首脳向けの文書で明らかになった。

この文書は、10月5日にスペインのグラナダで開かれるEU首脳会議で欧州の経済安全保障に関する議論のたたき台となる。

会議では、中国の世界的な存在感の高まりと経済的な影響力を懸念し、欧州が中国に過度に依存するリスクを減らし、アフリカや中南米に調達先を多様化する必要性について議論する。

文書は、太陽光や風力などの再生可能エネルギー源は供給が時々止まるという性質があるため、欧州が50年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする目標を達成するためには、エネルギーを貯蔵する手段が求められると指摘した。

その上で、「これによりリチウムイオン電池や燃料電池、電気分解装置の需要が急増し、今後数年間で10─30倍になることが見込まれる」との見通しを示した。

さらに「強力な対策を講じない限り、欧州のエネルギーエコシステムは30年までに、ウクライナ侵攻前のロシアとは異なる形で、深刻な中国依存に陥る可能性がある」と警告した。

EUは電気分解装置の中間・組み立て段階で、世界シェアの50%超を握っているが、電気自動車(EV)に不可欠な燃料電池やリチウムイオン電池は中国に大きく依存している。

文書はまた、EUの脆弱性は電池分野に限らないとした上で「同様のシナリオがデジタル技術分野でも起こる可能性がある」と警鐘を鳴らした。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中