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カナダ、大手行の国内安定バッファーを引き上げ
6月17日、カナダ金融機関監督庁(OSFI)は、国内大手行に適用する国内安定バッファー(DSB)をリスクアセットの1%から過去最高の2.5%に引き上げると発表した。写真はトロントの金融街で昨年6月撮影(2021年 ロイター/Carlos Osorio)
[トロント 17日 ロイター] - カナダ金融機関監督庁(OSFI)は、国内大手行に適用する国内安定バッファー(DSB)をリスクアセットの1%から過去最高の2.5%に引き上げると発表した。
10月31日から実施する。予想外の発表で、増配や自社株買いの再開につながる可能性がある。
OSFIは、新型コロナウイルスの流行に伴う経済・市場の混乱に収束の兆しが見られ、銀行の資本は盤石だと指摘。ただ、家計・企業の債務水準や、過去1年の住宅価格急騰に伴う資産の不均衡といった大きな脆弱性が残っているとの認識を示した。
今回の措置により普通株等Tier1比率(CET1)はリスクアセットの10.5%となる。基礎資本が4.5%、資本保全バッファーが2.5%、システム上重要な銀行の資本サーチャージが1%、DSBが2.5%。
ナショナル・バンクの金融アナリスト、ガブリエル・ドゥシェーヌ氏は「今回の措置により、今後OSFIが自社株買い・増配の凍結措置を緩和できる余地が増える」と述べた。
OSFIの幹部は会見で「一時的な資本分配制限を解除する前に、われわれが最低限期待する資本の水準を銀行が理解し、調整のための時間を設けることが有益だ」と感じていると述べた。
ロイターの試算によると、今回の措置が施行されても、大手6行の余剰資本は約510億カナダドルに達する見通し。4月30日時点では820億カナダドルだった。
OSFIは2020年3月に増配と自社株買いを一時停止する措置を導入。銀行の余剰資本が拡大する一因となった。新型コロナの流行に伴う不良債権の急増は、これまでのところ起きていない。