ニュース速報

ワールド

英、コロナ制限措置解除を1カ月延期 変異株デルタの感染拡大で

2021年06月15日(火)09時07分

6月14日、 ジョンソン英首相は新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する制限措置の解除を1カ月間延期すると発表した。インドで最初に見つかった新型コロナ変異株「デルタ」の感染拡大により、措置を講じなければ数千人が死亡する恐れがあると警告した。写真は6月4日、雨の中、ロンドン市内を歩く人達(2021年 ロイター/Henry Nicholls)

[ロンドン 14日 ロイター] - ジョンソン英首相は14日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する制限措置の解除を1カ月間延期すると発表した。インドで最初に見つかった新型コロナ変異株「デルタ」の感染拡大により、措置を講じなければ数千人が死亡する恐れがあると警告した。

2月時の計画では6月21日に大半の制限措置が解除され、バーやレストラン、ナイトクラブなどが完全に再開される予定だったが、7月19日に延期された。

ジョンソン首相は記者会見で「もう少し待つのが懸命だ」と指摘。「現在の状況および現在入手し得るデータによると、4週間以上の延長は必要ないと確信している」と述べた。

英国は延長期間を利用して、40歳以上に推奨しているワクチン接種の間隔を12週間から8週間に短縮し、ワクチン接種プログラムを加速させる。

6月28日には状況を見直し、再開が前倒しになる可能性があるが、ジョンソン首相の報道官によるとその可能性は低いという。

英国では14日、新たに7742人の感染者と3人の死者を確認。ジョンソン首相によると、感染者数は週間で約64%増加しており、集中治療室(ICU)で治療している患者数も増加しているという。

「ここで慎重に判断すれば、向こう4週間に数百万人がワクチンを接種することで多数の命を救えるかもしれない」と強調した。

制限解除の延長は科学的なモデリングに基づき決定した。予定通り活動を再開した場合のモデルケースでは、幾つかのシナリオの下、入院患者数が、医療崩壊の懸念があった昨年3月の水準に達する可能性が示された。

英政府の首席科学顧問パトリック・バランス氏は「4週間の延期によってピークを30─50%程度抑えられるだろう」と説明した。

ジョンソン氏はイングランドに関して制限措置を決める権限があり、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドはそれぞれの自治政府が方針を決める。

英国は新型コロナワクチンの普及ペースが世界で最も速い国の1つだが、制限解除は先送りされた。これまでに4100万人以上が1回目の接種を受け、成人人口の約57%に相当する3000万人近くが2回目を完了した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米商務省、対米投資の決定権要求もスイスが拒否 貿易

ワールド

片山財務相や小池都知事、「砂漠のダボス会議」で日本

ビジネス

利上げの是非、12月の決定会合で「適切に判断」=植

ワールド

南アはG20創設メンバーとラマポーザ大統領、トラン
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批判殺到...「悪意あるパクリ」か「言いがかり」か
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中