英中銀、危機時のノンバンクの脆弱性指摘 金融システム全体調査
イングランド銀行(英中銀)は29日、ヘッジファンドなどのノンバンクは依然として突然の金融ショックに脆弱で、危機の際に必要な資金を完全には調達できないとの見方を示した。 写真は記者会見で発言するベイリー総裁(左)。代表撮影(2024年 ロイター)
[ロンドン 29日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)は29日、ヘッジファンドなどのノンバンクは依然として突然の金融ショックに脆弱で、危機の際に必要な資金を完全には調達できないとの見方を示した。
金融システム全体を対象とした初のテストの結果を発表した。
ノンバンク部門の回復力が高まったとする一方、危機時に銀行融資に頼ることは「金融の安定性に対するリスクの増大」につながる可能性があると指摘した。
今回の調査は、大手銀行や他の金融機関の危機時のバランスシートを調査する一般的なストレステストとは異なり、銀行、ファンド、保険会社、中央清算機関を含む金融機関のネットワーク全体の動きがどのようにショックを増幅させる可能性があるかを検証した。
調査では非銀行金融機関の継続的リスクが浮き彫りになった。ノンバンクは危機時に銀行からのレポ融資に頼ることを期待しているが、利用できない可能性が高い。
ノンバンクは940億ポンド相当のマージンコールに対応する必要があり、資金調達ができない場合はヘッジファンドなどが資産売却を余儀なくされる状況に追い込まれることが明らかになった。
さらに、ポンド建て社債市場も圧力を受けることが予想され、資金確保のために社債を売却する動きが市場の流動性を急激に低下させるリスクが指摘された。買い手の不足が「流動性の急低下」を引き起こし、企業債券市場全体が影響を受ける可能性があるとしている。
今回のテストは直接的な政策行動を目的とはしておらず、リスクに対する認識を高めることを重視したもの。