NY市場サマリー(19日)S&P・ナスダック続伸、ドル上昇、利回り低下
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、主要通貨に対するドル指数が上昇した。ロシアが核兵器使用基準を引き下げると発表したことを受け、米ドル、スイスフラン、円などの安全通貨への逃避買いが一時膨らんだ。ただ、 ロシアおよび米国の当局者の発言を受けて買いの勢いは減退した。
ドル指数は0.03%高の106.25。一時、106.63の高値を付けた。
ウクライナは19日、米国から供与された長距離地対地ミサイル「ATACMS」を使用し、ロシア西部ブリャンスク州の兵器庫を攻撃した。19日はロシアのウクライナ侵攻開始から1000日目に当たる。
ただ、ロシアのラブロフ外相が同じく19日、核戦争の勃発を阻止するためにあらゆる手段を講じるとしたほか、ドイツのショルツ首相が18日、ドイツは長距離兵器の使用をウクライナに許可する米国の決定に追随しないと発言したことで、市場の初期反応は幾分弱まった。
シルバー・ゴールド・ブルのFX・貴金属リスクマネジメントディレクター、エリック・ブレガー氏は、ラブロフ外相の発言後、相場は反転していると指摘。また、この発言を受けても米国が核態勢を調整する理由は見当たらないとしたことも「市場心理が幾分落ち着く一因となっている」と述べた。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 米金融・債券市場で、国債利回りが低下した。ウクライナが米国から供与された長距離地対地ミサイル「ATACMS」で初めてロシア領内への攻撃を実施し、地政学的緊張が高まる中、米国債などの安全資産に資金が流れている。
ウクライナ全面侵攻開始から1000日目に当たるこの日、ロシアのプーチン大統領は核兵器使用に関するドクトリン(核抑止力の国家政策指針)の改定を承認した。ロシア・ウクライナ戦争が最も危険な局面に入りつつあるとの見方も出ている。
カーバチャー・セキュリティーズの債券取引責任者、トム・ディ・ガロマ氏はこの日の市場の動きは、完全に「質への逃避」だったと指摘。「ウクライナとロシアの緊張の高まりを受け、『リスクオフ』の買いが入っている」と述べた。
米国債利回りはこれまでの約2カ月間、経済指標が予想以上に力強かったことなどを背景に上昇。連邦準備理事会(FRB)は9月以降、合計0.75%ポイントの利下げを実施したが、ここに来て利下げサイクルの一旦停止観測も出ている。
CMEフェドウオッチによると、12月17─18日の次回会合で0.25%ポイントの利下げが決定される確率は59%、据え置きが決定される確率は41%。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 米国株式市場はS&P総合500種とナスダック総合が続伸して取引を終えた。半導体大手エヌビディアの決算発表が待たれる中、ハイテク株が上昇を主導した。通期の業績見通しを引き上げた小売り大手ウォルマートも買われた。ダウ工業株30種は続落した。
主要3指数はこの日、ウクライナが米国から供与された長距離地対地ミサイルでロシア西部の兵器庫を攻撃し、ロシアのプーチン大統領が核兵器使用に関するドクトリン(核抑止力の国家政策指針)の改定を承認したことを受け、いずれも下落して取引を開始。ロシアのラブロフ外相が核戦争の勃発を阻止するためにあらゆる手段を講じると述べると、下げ幅を縮小した。
エヌビディアは20日引け後の決算発表を前に上昇。S&P500の業種別では情報技術が上げを主導した。アマゾン・ドット・コムなど他の大型株も買われた。
ジラードのティモシー・チャブ最高投資責任者は「きょうはウクライナ情勢を巡る警戒感が広がった」とし、流動性の高い大型株に逃避買いが見られたと指摘した。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、ウクライナ情勢の緊迫化を背景に安全資産としての需要が高まり、続伸した。
ロシア国防省は19日、西部ブリャンスク州の軍事施設を狙い、ウクライナ軍が同日未明に米国製の長距離地対地ミサイル「ATACMS」を撃ち込んだと発表した。米メディアは17日に、バイデン米政権がウクライナに供与した長距離ミサイルをロシア本土への攻撃に使用することを容認したと伝えていた。こうした動きに反発し、ロシアのプーチン大統領は19日、核兵器の使用条件を示した核ドクトリン(核抑止力の国家政策指針)を改定。ウクライナを軍事支援する欧米など各国も核を含む攻撃の対象になり得ると警告した。
地政学的リスクが高まる中、この日は米国債も買われて米金利が低下。ドルの上値も抑えられたことで、利回りを生まず、ドル建てで取引される金の投資妙味が増大した。ただ、朝方の上昇が一服した後は、米金融政策を巡る不透明感などが重しとなり、買いの勢いは鈍化した。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ウクライナ情勢の緊迫化を受けた買いに続伸した。
ロシア国防省は19日、西部ブリャンスク州の軍事施設を狙い、ウクライナ軍が同日未明に米国製の長距離地対地ミサイル「ATACMS」を打ち込んだと発表した。米政権がロシア領内の攻撃にATACMSの使用を認めたと17日に伝えられた後の最初の適用例となる。ウクライナ側の攻撃激化によるロシア産原油の供給混乱へ警戒感が強まった。一方、ロシアのプーチン大統領は19日、ウクライナからの攻撃を受けて、核兵器の使用条件を示した核ドクトリン(核抑止力の国家政策指針)を改定し、大統領令に署名。ロシアによる核兵器使用のハードルが下がるとの見方が広がり、ウクライナ情勢の不透明感が一段と高まった。
ただ、ノルウェー石油最大手エクイノールは19日、停電のため一時生産を停止していた北海の「ヨハン・スベルドラップ」油田の生産を一部再開したと発表した。これを受け、これまで高まっていた北海原油の供給をめぐる不安が後退し、上値を抑えた。米メディアが19日、国際原子力機関(IAEA)の報告としてイランが核兵器に使用される高濃度ウランの生産を停止することに同意したと報道。核活動をめぐる欧米との対立解決へ前向きな姿勢を示したとの見方につながり、売り材料視されたとの見方があった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY午後4時 154.68/154.69
始値 154.06
高値 154.79
安値 153.43
ユーロ/ドル NY午後4時 1.0593/1.0594
始値 1.0562
高値 1.0600
安値 1.0560
米東部時間
30年債(指標銘柄) 16時40分 98*20.00 4.5848%
前営業日終値 98*09.00 4.6060%
10年債(指標銘柄) 16時40分 98*26.00 4.3981%
前営業日終値 98*22.00 4.4140%
5年債(指標銘柄) 16時40分 99*12.50 4.2625%
前営業日終値 99*10.75 4.2750%
2年債(指標銘柄) 16時40分 99*22.50 4.2846%
前営業日終値 99*22.50 4.2840%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 43268.94 -120.66 -0.28
前営業日終値 43389.60
ナスダック総合 18987.47 +195.66 +1.04
前営業日終値 18791.81
S&P総合500種 5916.98 +23.36 +0.40
前営業日終値 5893.62
COMEX金 12月限 2631.0 +16.4
前営業日終値 2614.6
COMEX銀 12月限 3126.2 +3.8
前営業日終値 3122.4
北海ブレント 1月限 73.31 +0.01
前営業日終値 73.30
米WTI先物 12月限 69.39 +0.23
前営業日終値 69.16
CRB商品指数 285.0951 +1.0847
前営業日終値 284.0104