ニュース速報

ビジネス

イールドカーブのスティープ化、検討は時期尚早=黒田日銀総裁

2022年01月28日(金)17時02分

日銀の黒田東彦総裁は28日午後の衆院予算委員会で、現時点の長短金利の誘導目標について、イールドカーブの低位維持にとって適切との認識を示した。写真は2019年、ロイターのインタビューに答える黒田日銀総裁。ワシントンで撮影。(2022年 ロイター/Carlos Jasso )

[東京 28日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は28日午後の衆院予算委員会で、現時点の長短金利の誘導目標について、イールドカーブの低位維持にとって適切との認識を示した。大規模な金融緩和からの出口戦略を議論する際には、イールドカーブのスティープ化が議論の対象になるものの、現時点では時期尚早だと述べた。

前原誠司委員(国民民主党・無所属クラブ)が国際通貨基金(IMF)の提言を踏まえて質問した。IMFは28日の日本経済に関する年次報告書で、長期金利(10年債利回り)をゼロ%程度に誘導する現行の金融政策について、より短期的な金利を対象にするのが望ましいなどと指摘した。

黒田総裁は、マイナス0.1%を日銀当座預金の一部に適用する政策は「短期金利をマイナス0.1%程度で安定させる上で重要だ」と指摘。10年債利回りをゼロ%程度に誘導することも「全体としてイールドカーブを低位に維持する意味で適切だ」と述べた。

その上で「2%の物価目標が達成されるという状況になれば当然、出口を政策委員会で議論して具体的にマーケットにも示していくことになると思うが、現時点では今のイールドカーブ・コントロールが適切だ」と話した。

前原委員は、物価高の影響が国民生活に及ぶ中、円安や原油高はさらに進む可能性があるとして「金融政策を見直すべきだ」と主張した。

これに対して黒田総裁は「今後とも強力な金融緩和を粘り強く続けていくことで、企業収益の増加や労働需給の改善といったプラス効果が幅広い経済主体に及んでいく」と述べた。ウクライナ情勢の緊迫化については「エネルギー価格などに影響しないか、十分注意して見ていきたい」とした。

黒田総裁は、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を巡り「為替の動向には十分注意していきたい」と述べる一方、「米国の金融政策が日本経済や金融にマイナスの影響を与えるとは考えていない」と指摘した。

(和田崇彦)

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米経済全体の景気後退リスクない、政府閉鎖で110億

ワールド

米、ウクライナ和平協議の「進展」歓迎 安全の保証問

ワールド

アングル:労災被害者の韓国大統領、産業現場での事故

ワールド

高市首相、中国首相と会話の機会なし G20サミット
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 5
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中