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25年度までに5000億円規模のM&A視野、5G関連など=NEC社長

2021年12月07日(火)15時26分

 12月7日、NECの森田隆之社長は報道各社とのインタビューで、2025年度までの現行中期経営計画の期間中に、5000億円規模のM&Aを行う可能性を示唆した。写真は千葉県の幕張メッセで2016年10月撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 7日 ロイター] - NECの森田隆之社長は報道各社とのインタビューで、2025年度までの現行中期経営計画の期間中に、5000億円規模のM&Aを行う可能性を示唆した。5G関連の技術や人材の獲得を狙う。同時に、高まる経済安全保障に関する議論では、流出を防ぐ必要のある機微技術の定義を明確にすることが重要だと指摘した。

森田社長は今後の企業買収戦略について、現行の中期計画が順調に遂行できれば、20年度に終了した前中期計画期間中に実施した「5000億円規模の投資余力は当然ある」との見方を示した。

同社は18年1月に英国で地方政府向けソフト開発のノースゲート・パブリック・サービシーズ、19年2月にデンマークのIT最大手KMD、20年12月にスイス金融資産管理ソフトのアバロクを相次ぎ買収。投資総額は4500億円を超えた。

ただ、買収は財務の健全性を維持した上で実施する考え。「買収はビジネスのひとつの選択肢。既存事業に対する施策とともに、平等で考える」という。

<経済安保、機微技術の定義明確化が重要>

経済安保に関しては、通信や海底ケーブル、衛星、顔認証を含む人工知能(AI)関連など、同社の多くの事業が対象領域になるとして、機微技術の定義が重要だと訴えた。「一定の制約の中で事業を進めることになるので、そこがあいまいになると、かなり企業活動に制約を受けることになる」ためだという。

英や豪など海外で請け負っている現地政府の関連事業では、データの取り扱いはもちろん、作業場所への立ち入りも厳しく制限され「社長である私も入れない。それが当然のこと」だとして、日本の経済安保に対する意識は「相対的に低かった部分がある。世の中の標準的なレベルになってきたのではないか」と評した。

<グローバル供給網の不安定化、来年も懸念材料>

来年の経営上の懸念については、新型コロナウイルスの感染状況に加え、サプライチェーンの不安定化を挙げた。「最初は半導体の問題と言われていたが、今はあらゆるものの供給が非常に不安定で、かなり複層的な原因が絡んでいる」といい、米中対立で部材の供給体制が世界的に二分されていること、物流の混乱、仮需や投機の発生などの収束を見極めたいと述べた。

インタビューは6日に実施した。

ロイター
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