ニュース速報

ビジネス

伊政府、ウニクレディトのモンテ・パスキ買収で雇用と地域経済守る意向

2021年08月05日(木)10時58分

イタリアのフランコ経済財務相は4日、経営難で政府管理下にある国内銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(MPS)を大手銀ウニクレディトが買収するにあたり、MPSの雇用と地域経済の保護を重視すると語った。写真は同社のロゴ.FILE PHOTO: A sign of the Monte dei Paschi bank is seen in Rome, Italy September 30, 2018. REUTERS/Alessandro Bianchi/File Photo

[ローマ 5日 ロイター] - イタリアのフランコ経済財務相は4日、経営難で政府管理下にある国内銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(MPS)を大手銀ウニクレディトが買収するにあたり、MPSの雇用と地域経済の保護を重視すると語った。

ウニクレディトは先週、MPSの「選択された部分」の買収に向けて政府と独占交渉に入ると発表した。

政府は2017年の救済でMPSに総額54億ユーロの公的資金を注入し、株式の64%を保有している。

労働組合や政治家は、MPS買収による雇用や地域経済への影響に懸念を示していた。MPSはトスカーナ州シエナとその周辺で多くの雇用を担ってきた。

経済相は議会で「買収で合意できると強く期待しているが、犠牲を伴う合意はない」と発言。MPSの従業員の雇用とブランド、地域経済を守ることが政府の優先課題だと語った。

また、MPSの株式売却を遅らせるために政府が欧州連合(EU)と交渉することはないとも述べた。

一方で同相は、MPSのレイオフの規模は同行が今年示した2021─25年計画で見込んだ余剰人員2500人を大きく上回ることになると説明した。MPSの従業員は2万1000人で、うち約1400人がシエナの本店で働いている。

関係筋が今週ロイターに明らかにしたところでは、ウニクレディトによる買収で余剰人員はMPS従業員の3分の1近くに達する見込みだ。

フランコ氏によると、合意案では、ウニクレディトはMPSの不良債権や係争中の訴訟のリスクを引き継ぐことはない。

同氏は、EUの欧州銀行監督機構(EBA)が先週、域内銀行に実施したストレステスト(健全性審査)で、MPSに「大規模な資本増強」が必要なことが示されたと述べた。

また、ウニクレディトとの協議がMPSの分割につながる可能性はないとし、買収の際の増資資金として政府は15億ユーロを用意してあると語った。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米

ビジネス

米FRB、「ストレステスト」改正案承認 透明性向上

ワールド

東ティモール、ASEAN加盟 11カ国目
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任務戦闘艦を進水 
  • 4
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 5
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 10
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中