コラム

自宅療養で人々を見殺しにすると決めた菅首相

2021年08月04日(水)13時35分

これはつまり、自分たちがいくら酷いことを言っても、自分たちは安泰だと考えているからだろう。『ドラえもん』のジャイアンが「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」という理不尽な理屈でのび太やスネ夫からものを取り上げることができるのは、ジャイアンの頭が悪く説得力のある理屈が考えられないからではなく、ジャイアンにはまともな理屈でもって相手を説得する必要がないからだ。たとえ自分の理屈が理不尽だと分かっていても、のび太もスネ夫も反論してこない。なぜなら自分は圧倒的な暴力を持っているから。つまり理不尽な理屈とは、相手を服従させる権力を自分は持っているんだぞというメタ・メッセージでもあるのだ。

このような日本政府の横暴と共犯関係にあるのは、どんなに首相や大臣の答弁が破綻していようと決してその場で突っ込まないメディアだろう。それどころか大手メディアは政府と一緒になってオリンピックを推進し、深刻な状況を深刻だと考えない雰囲気を作り出し、状態をますます悪化させてしまっている。

このコラムで再三再四主張していることだが、責任概念を取り戻さなければいけない。日本は安倍政権から菅政権にかけて、責任概念を国全体で喪失した。そしてコロナ禍でもそれを回復することはできなかった。私たちは今、その代償を払っている。

プロフィール

藤崎剛人

(ふじさき・まさと)  埼玉工業大学非常勤講師、批評家
1982年生まれ。東京大学総合文化研究科単位取得退学。専門は思想史。特にカール・シュミットの公法思想を研究。『ユリイカ』、『現代思想』などにも寄稿 
Twitter ID:@hokusyu82 『

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ビジネス

米ゴールドマン、新たな福利厚生制度を導入 人材集め

ビジネス

10月鉱工業生産速報は前月比+1.1%=経済産業省

ビジネス

失業率10月は2.7%に改善、有効求人倍率は1.1

ビジネス

米景気回復、債務上限解決なければ台無し─財務長官=

MAGAZINE

特集:文化大革命2.0

2021年12月 7日号(11/30発売)

習近平が主導する21世紀の共産主義回帰運動 思想統制を強め孤立主義に走る、その真意はどこに?

人気ランキング

  • 1

    「米化」でブレイク オートミールにハマった人たちに起きた変化とは

  • 2

    半身を失った「ゾンビザメ」、10匹に共食いされてなお泳ぎ続ける:動画

  • 3

    一番人懐こいネコの品種は?甘え過ぎへの対処法は?

  • 4

    子供が欲しかった僕は、女友達と恋愛抜きで子供の「…

  • 5

    最初から「失敗」が決まっていたクロエ・ジャオ監督…

  • 6

    セブンイレブンに「来店」したクマ、感染症対策も欠…

  • 7

    韓国の新規感染者数が初の4000人超え。日本とは何が…

  • 8

    EVは地球に優しくても人間に優しくない一面をもつ──…

  • 9

    ワクチンが効かない?南アフリカ変異株「オミクロン…

  • 10

    あなたはいくらエクササイズしても痩せない 脂肪燃…

  • 1

    一番人懐こいネコの品種は?甘え過ぎへの対処法は?

  • 2

    子供が欲しかった僕は、女友達と恋愛抜きで子供の「両親」になった

  • 3

    最初から「失敗」が決まっていたクロエ・ジャオ監督のマーベル映画『エターナルズ』

  • 4

    「米化」でブレイク オートミールにハマった人たちに…

  • 5

    あなたはいくらエクササイズしても痩せない 脂肪燃…

  • 6

    多数の難民を受け入れたスウェーデンが思い知った「…

  • 7

    ナイキのシューズがクリスマス、いや来年夏まで入荷…

  • 8

    勝海舟があっさり江戸城を明け渡した本当の理由 「無…

  • 9

    半身を失った「ゾンビザメ」、10匹に共食いされてな…

  • 10

    恋の情趣・風雅・情事 ── 江戸の遊廓で女性たちが体現…

  • 1

    【動画】リビングの壁を這う「猫サイズ」のクモ

  • 2

    一番人懐こいネコの品種は?甘え過ぎへの対処法は?

  • 3

    最初から「失敗」が決まっていたクロエ・ジャオ監督のマーベル映画『エターナルズ』

  • 4

    子供が欲しかった僕は、女友達と恋愛抜きで子供の「…

  • 5

    「可愛すぎて死にそう」ウサギを真似してぴょんぴょ…

  • 6

    「米化」でブレイク オートミールにハマった人たちに…

  • 7

    ネコはいつでも飼い主を思っていた...常に居場所を頭…

  • 8

    突然の激しい発作に意味不明の言葉──原因は20年前に…

  • 9

    あなたはいくらエクササイズしても痩せない 脂肪燃…

  • 10

    背中を売ってタトゥーを刻む『皮膚を売った男』の現…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中