『アステイオン』本誌

2012/11月発売
vol077

特集:それでも民主主義

2012/11発売

アリストテレスが民主主義(デモクラティア)を語った時、それはプロの政治家を選挙で選ぶ現代の常識とは異なり、市民がくじ引きによって交代で公職を担当する政治制度を意味していた。つまり良き政治体制を意味していたわけではない。今日、民主主義はほとんど唯一の正しい政治のやり方を意味し、それに疑問を呈することは異端である。だが現実の民主政治に選挙民は世界中で不満をもっている。なぜ民主主義でないといけないのか。民主主義とはいったい何で、その可能性と限界は何なのだろうか? 改めて民主主義を正面から考えてみようではないか。

目次

【特集】

  • 巻頭言
  • 等身大の民主主義観ジョン・ダン
  • 内なるバランスの回復を目指して――フランスからの示唆宇野重規
  • 現代民主政1・5――熟議と無意識の間空井 護
  • ソーシャルメディアと「アラブの春」――「動員革命」と「透明性革命」山本達也
  • 「民主(democracy)」と「民主(minzhu)」の出会い
    ――香港から考える
    倉田 徹
  • 「開発民主主義」の挑戦――多様性社会インドの道田辺明生
  • グローバル民主主義の未来メリッサ・ウィリアムズ

【論考】

  • もうひとつの使い捨て文化――東アフリカにおける中古品の流通・消費小川さやか
  • 世界における日本映画――黒澤明から大島渚へ平沢 剛
  • 現代中国のアーティスト・艾未未牧 陽一
  • 「国民的議論」とは何だったのか――原発をめぐる市民参加のあり方小林傅司

【地域は舞台】

  • 祭りは文化を伝えるか?――おけと人間ばん馬(北海道常呂郡置戸町)桑田瑞穂

【写真で読む研究レポート】

  • 掌のなかの広告――社会を反映するマッチラベル並木誠士

【世界の思潮】

  • 拡大するアメリカの格差マーク・リラ
  • 経済危機と制度改革――「民主化後」を模索するスペイン松森奈津子

【時評】

  • 美しくも愚かしいことども――『茶の本』の一隅を読む芳賀 徹
  • ドビュッシー、音楽・美術・文学高階秀爾
  • タイタニック号の音楽――史実とフィクションのはざまで渡辺 裕
  • 国技館はイスラム風だった藤森照信
  • 騒擾事件奥本大三郎
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