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地方自治体がなぜ名産品をNFT化するのか──ブロックチェーンが可能にした地方活性化と「ファン集め」の挑戦

2023年09月13日(水)10時25分
杉浦俊彦(前SBI金融経済研究所研究主幹)

仮想通貨のビットコインと同様に、「ブロックチェーン」と呼ばれる技術を用いて、割り振られた番号を不正にコピーしたり、改ざんしたりすること、つまり、「名札」を偽造したり、書き換えたりすることを防いでいる。

ただ、「名札」自体を偽造できなくても、「名札」を付け替えることはできてしまう。NFTと紐づけられたデジタルデータも、他のデジタルデータに付け替えられたりしないように管理をしっかり行う必要はある。

地域活性化策への応用

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図1(左)、図2(右) 余市町ミニコレクティブルNFT 提供:余市町/(株)あるやうむ


2022年度に入って地方自治体でふるさと納税の返礼品としてNFTを活用する取組みが見られ始めてきた。

北海道余市町、大阪府泉佐野市、茨城県桜川市、兵庫県加西市など、筆者が調べただけでも20近い地方自治体の活用事例が見受けられた(2022年末時点)。

多くの場合、地域の名産品や景勝地、文化遺産などを個性的なキャラクターと組み合わせてイラストにし、個数限定の返礼品として寄付金を募っている。

地域の認知度やイメージの向上、地域に対する「ファン」の形成などの狙いもあるようだ。

例として、いち早く取り組んだ北海道余市町のNFT返礼品をみてみよう。いずれも特産品のワインを中心テーマにしたものだ。

最初のNFT返礼品では、キャラクター3種類(男性・女性・子供)、背景3種類(ワイン蔵、ブドウ畑、レストラン)、飲み物3種類(赤ワイン、白ワイン、ぶどうジュース)、仕草2種類を組み合わせ、計54種類のイラストを作成した(図1、2)。

このように複数のパーツをコンピュータで自動的に組み合わせて作るNFTをコレクティブルNFT、またはジェネラティヴNFTという。

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